黒ずんだ10円玉を調味料につけると、数分でピカピカになるものがあります。台所にあるものだけでできて、変化が目に見えて分かる——だから10円玉の実験は、毎年たくさんの小学生が自由研究に選びます。ただ「酢につけたらきれいになった」で終わってしまうと、レポートは3行で終わってしまいます。このページでは、複数の液体を同じ条件で比べる/時間ごとの変化を追う/なぜそうなったかを考えるという研究の形に落とし込めるワークシートを、小3〜小6の学年別に4枚、A4たてのPDFで無料配布しています。記録の書き方は実験記録シート、まとめ方は自由研究まとめ方シートや模造紙レイアウトのテンプレートもあわせてどうぞ。
この記事でわかること
0110円玉の実験を「研究」にする5つのポイント水を入れる・量と時間をそろえる見る →02何につける?試す液体のアイデア酸のなかま/調味料/そのほか見る →03【無料DL】10円玉をきれいにする自由研究プリント4枚小3〜小6の学年別/比較表+時間経過表見る →04予想からまとめまでの3ステップ10分の実験を1枚のレポートにする見る →05先生向けの活用アイデア対照実験の考え方を教える教材に見る →06よくある質問なぜきれいになる?硬貨を洗っても大丈夫?見る →
10円玉の実験を「研究」にする5つのポイント
「水」を必ず1つ入れて、比べる基準をつくる
酢やレモン汁だけを試すと、「そもそも液体につけて動かせばきれいになるだけでは?」という疑問が残ります。そこでただの水につけた10円玉を1枚用意しておきます。水ではほとんど変化しないことが分かると、「変化したのはその液体の性質のせいだ」と言えるようになります。これが対照実験(比べる基準)の考え方で、研究としての説得力を一段上げてくれます。
液体の量とつける時間をそろえる
「酢は10分、しょうゆは3分」では公平に比べられません。すべて同じ量(たとえば各10mL)・同じ時間(たとえば10分)にそろえます。プリントの比較表には「量(約mL)」「つけた時間(分)」の列があるので、そこに実際の数値を書き込んでおけば、あとから見た人にも条件が伝わります。
汚れ方の似た10円玉を集める
ピカピカの10円玉と真っ黒な10円玉を比べても差は分かりません。家族に頼んで同じくらい黒ずんだ10円玉を5〜6枚集めましょう。見つからないときは、少しきれいなものを白い紙の上に並べて写真をとり、「はじめの状態」として記録しておけば、多少のちがいはカバーできます。
実験の前と後を、同じ場所・同じ明るさで写真にとる
10円玉の変化は写真がいちばん伝わります。ただし、明るさが違うと色も違って見えてしまいます。白い紙の上に置き、同じ場所・同じ時間帯・フラッシュなしで撮るようにしましょう。プリントの比較表には「写真・記録」の欄があるので、印刷した写真を貼るとそのまま提出できます。
落ちなかった液体も、そのまま記録する
「効かなかった」も立派な結果です。しょうゆのように塩分はあるけれど変化が小さいものを記録しておくと、「よく落ちたものに共通していたのは何だろう」という考察につながります。うまくいったものだけ書くと、かえって研究らしさが失われてしまいます。
何につける?試す液体のアイデアと、きれいになる理由
10円玉は銅を主な材料にした硬貨です。長く使われた10円玉の表面が黒っぽく見えるのは、銅が空気中の酸素などと結びついてできた膜(酸化銅など)や、手あぶれ・よごれがついているためだと考えられています。この膜は酸のはたらきで溶けやすく、塩分がいっしょにあるとさらに落ちやすいという性質があります。だから酢やレモン汁がよく効き、酢と塩の両方を含むソースやケチャップも変化が大きく出ます。——ここまでを予想の根拠にして、実際はどうなるかを自分の手で確かめてみましょう。
お酢/レモン汁/炭酸水/ウスターソース。すっぱいものは酸を含むため、変化がはっきり出やすいグループです。とくにお酢とレモン汁は、数分で見た目が変わることがあります。
しょうゆ/ケチャップ/マヨネーズ/みりん/ソース。ケチャップやソースは酢と塩の両方を含むためよく落ちる一方、しょうゆは塩分は多くても酸が弱いので変化が小さめ、という差が出ることがあります。とろみのあるものは10円玉全体に塗って置くのがコツです。
水(=比べる基準として必ず1つ)/食塩水/お酢+食塩を混ぜたもの/台所用洗剤。お酢に食塩を溶かしたものは、お酢だけのときとどう違うかを比べる発展テーマとしておすすめです。洗剤は「よごれを落とす」働きで、酸とは別のしくみになります。
実験を始める前に必ず確認してほしいこと
ちがう種類の洗剤や薬品を混ぜないでください。とくに酸性のもの(お酢・レモン汁など)と塩素系漂白剤を混ぜると有毒なガスが発生して危険です。塩素系漂白剤はこの実験には使いません。
硬貨を削ったり、曲げたり、穴をあけたり、熱で溶かしたりしてはいけません。貨幣を損傷させる行為は法律で禁止されています(貨幣損傷等取締法)。この実験は液体につけて洗うだけなので問題ありませんが、紙やすりやコインを傷つける道具は使わないでください。
実験に使った10円玉は、最後に流水でよく洗い、ふいて乾かしてから財布に戻してください。酸や塩分が残るとかえって変色が進むことがあります。
液体をさわったあとは手を洗い、口や目に入れないように注意してください。目に入ったときはすぐに流水で洗い、心配なときは大人に伝えましょう。
においの強い液体を使うので、窓を開けるか換気扇を回して行ってください。食べ物を扱う調理台で行う場合は、あとでよくふきましょう。
【無料ダウンロード】10円玉をきれいにする自由研究プリント4枚
小3〜小6の学年別に4枚あります。すべてA4たてのPDF・1枚完結で、予想→液体別の比較表→時間経過の記録→結果→考察(わかったこと)という流れが1枚に収まっています。試す液体の名前は印刷していないので、自分で決めたものを書き込んで使ってください。サムネイル画像をクリックすると原寸のPNG画像が別タブで開きます。
小学3年生用|「めあて」から書けるやさしい記録シート
4枚のなかでいちばんやさしい文体(「〜しよう!」「〜かな?」)で書かれた3年生用。①は自由に書ける「じっけんのめあて」の枠、②予想は「どの液体がいちばん10円玉をきれいにしてくれるかな?」+理由を3行。③比較表は〈ためしたもの/りょう(約mL)/じかん(分)/10円玉のようす/しゃしん・え〉の5列5行、④時間経過ははじめ・1分・3分・5分・10分の5段。⑤結果4行、⑥わかったこと3行。ヤシの木やクジラなど夏らしいイラストが多く、はじめての自由研究でも取りかかりやすい紙面です。
小学4年生用|写真をはる枠つき・ていねいな文体
「〜しましょう」というていねいな文体になり、①予想から始まる構成。③時間の変化には「えらんだ液体( )」という記入欄があり、どれを選んで追跡したのかを明示できます。②比較表は番号列(❶〜❺)が独立し、〈ためした液体/量(約mL)/時間(分)/10円玉のようす/写真・絵〉の6列5行。比較表と時間経過表の両方に写真をはる破線の枠があるので、撮った写真を並べるだけで見やすいレポートになります。⑤考えたことは4行。
小学5年生用|実験の目的が印刷済み・「条件番号」で管理
①には「10円玉のよごれをいろいろな液体でとると、どの液体がいちばんきれいになるかを調べる。」という実験の目的が印刷済み。研究の書き方の型をそのまま学べます。③比較表の1列目が「条件番号」になり、〈条件番号/液体名/量(約mL)/つけた時間(分)/10円玉の変化・ようす/写真・記録〉の6列5行。④時間経過は開始・1分・3分・5分・10分の5段で、各段に写真・スケッチの枠つき。⑤結果にはいちばんきれいになった10円玉の写真をはる枠、⑥は「考察」として「なぜその液体がよく落ちたのか」まで書きます。装飾を抑えた濃紺のデザインで、理科のレポートらしい見た目です。
小学6年生用|観察の観点つき・生活とつなげて考える
①「10円玉のよごれを落とすのに、どの液体が一番効果的かを調べる。」が印刷済み。③比較表の1列目は「試した液体・条件」で、液体だけでなく「お酢+食塩」のような条件も書けるようになっています。観察結果の列には「色・つや・よごれの落ち具合など」という観点が明記され、セルの中に薄い点線が2本入っているので、何をどう書くか迷いません。⑥考察は「なぜその液体がよく落ちたのだろう? 逆によく落ちなかったのはなぜだろう?結果からわかったことや、生活の中で役立ちそうなことを考えて書きましょう。」と問いかけ、5行の記入欄。6年の理科「水溶液の性質」の学習とつなげられます。
予想からまとめまでの3ステップ
液体を4〜5種類決めて、予想と理由を書く
上の3グループから液体を選びます(水を必ず1つ入れるのを忘れずに)。小さな容器を液体の数だけ用意して、それぞれに同じ量を入れます。10円玉は汚れ方の似たものを液体の数だけ用意し、はじめの状態を白い紙の上で写真にとっておきます。そのうえで、予想と「そう思った理由」をプリントに書きます。
同時にひたして、比較表と時間経過表に書き込む
すべての10円玉を同時に液体にひたし、決めた時間(たとえば10分)が来たら取り出します。取り出したら流水で洗い、ふいてから白い紙の上で写真をとり、比較表の「10円玉のようす」に色・つや・よごれの落ち具合を言葉で書きます。そのあと、いちばん変化の大きかった液体を1つ選び、別の10円玉で開始・1分・3分・5分・10分の変化を時間経過表に記録します。
考察を書いて、まとめる。使った10円玉は洗って戻す
「よく落ちた液体に共通していたことは何か」「落ちなかった液体は何が足りなかったのか」を考察の欄に書きます。前後の写真を並べて貼れば、それだけで説明力のある紙面になります。最後に、実験に使った10円玉はすべて流水でよく洗って乾かしてから財布に戻しましょう。模造紙レイアウトのテンプレートを使うと、写真と表を配置した見やすいまとめに仕上げられます。
先生向け|10円玉の実験ワークシートの活用アイデア
夏休みの自由研究の課題として、また6年「水溶液の性質」の導入・発展としてお使いいただけます。学校・学童・塾での印刷配布も歓迎です。
「水につけたものも用意する」という一手間だけで、比較の意味がまったく変わることを実感させられます。水を入れずに実験した児童のレポートと見比べさせると、なぜ基準が必要なのかを説明しなくても伝わります。
液体の量とつけた時間をそろえるという条件制御は5年生の重点、「よく落ちた理由」と「落ちなかった理由」の両方から考えるのは6年生の重点にあたります。5年生用は「条件番号」列、6年生用は「試した液体・条件」列と観察の観点を用意して、この差を紙面で支えています。
酸性の水溶液が金属の表面に作用するという内容は、6年の水溶液の学習とつながります。単元の前に体験させておくと「あのとき酢でピカピカになったのは……」と結びつけやすく、単元後に取り組ませれば学んだ知識で説明する活動になります。
記事内の注意事項(薬品を混ぜない・硬貨を傷つけない・使った硬貨は洗う)は、そのまま指導の要点として使えます。とくに塩素系漂白剤と酸を混ぜないことは、家庭で行う実験の共通の注意としてこの機会に伝えておきたい内容です。
おうちの方へ
この実験の面白いところは、結果が「思ったとおり」にならないことが多い点です。酢がいちばんだと思っていたのにケチャップのほうがよく落ちた、しょうゆはまったく変わらなかった——そういうズレが出たときこそ、「どうしてだろうね」と一緒に考える価値があります。答えを教える必要はありません。「よく落ちたものに共通するものはある?」と問いを返すだけで、子どもは自分で気づきにいきます。用意するものは10円玉と調味料と小さな容器だけ。実験そのものは10分ほどで終わるので、写真をとる係と時間をはかる係を引き受けてあげると、ぐっと進みやすくなります。
同じように家にあるものでできる実験なら氷が溶ける速さを比べる自由研究(小1〜小6)や野菜や果物の浮く・沈む実験もどうぞ。記録の書き方そのものを練習したいときは実験記録シート、1枚のレポートに整えるときは自由研究まとめ方シートが便利です。
10円玉をきれいにする自由研究のよくある質問
Q10円玉の自由研究プリントは無料で使えますか?
Aはい、4枚すべて無料でダウンロード・印刷してお使いいただけます。ご家庭・学校・学童・塾などでの印刷配布も歓迎です(PDFファイル自体の再配布・販売はご遠慮ください)。
Qなぜ酢やレモン汁で10円玉がきれいになるのですか?
A10円玉は銅を主な材料にした硬貨で、黒ずみの多くは銅が空気中の酸素などと結びついてできた膜やよごれだと考えられています。この膜は酸のはたらきで溶けやすく、塩分がいっしょにあるとさらに落ちやすくなります。そのため酸を含む酢やレモン汁、酢と塩の両方を含むソース・ケチャップで変化が大きく出ることが多いです。ただし液体の種類・濃さ・10円玉の汚れ方によって結果は変わるので、実際に自分で比べて確かめるのが自由研究の目的です。
Q10円玉を洗ったり酢につけたりしても大丈夫ですか?
A液体につけて洗うだけであれば問題ありません。ただし硬貨を削る・曲げる・穴をあける・溶かすといった貨幣を損傷させる行為は法律で禁止されています(貨幣損傷等取締法)。紙やすりでこするような方法は使わないでください。また実験のあとは流水でよく洗い、ふいて乾かしてから財布に戻してください。酸や塩分が残ると、かえって変色が進むことがあります。
Qどのくらいの時間で変化しますか?解答はついていますか?
A酢やレモン汁の場合、早いものでは1〜3分で見た目が変わりはじめ、10分ほどでかなり差が出ます。変化が小さい液体もあるので、10分たっても変わらないときは「変化しなかった」という結果として記録してください。このプリントはワークシート(記録用紙)なので解答はついていません。液体の種類や10円玉の汚れ方で結果は変わるため、正解を当てることよりも、条件をそろえて比べられたか、結果から自分の言葉で考えを書けたかを見てあげてください。
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