「うちの子は全然落ち着きがない」
「何をやってもすぐに飽きてしまう」
「先生から授業中に立ち歩いていると言われる」
「順番を待てずに友達とトラブルばかり」
「空気が読めないので一人になりがち」
お子さんのこういった振るまいが思い当たる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そうした親御さんの中には「もしかしたらうちの子はADHDではないだろうか?」と考えている方も多いかと思います。
発達障害の一つであるADHD。
落ち着きがなく衝動的に行動してしまうので、日常生活や学校生活で支障をきたすことが多くあります。
ADHDの子供は普段から大人に注意されることが多く、友達とのトラブルも起きがちです。
最近耳にすることが多くなった「ADHD」という障害。
「落ち着きがない子供」程度の知識はあっても、詳しい特性やサポートの方法まではご存知ない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は知っておきたいADHDの子供の特性や望ましいサポート方法について詳しく紹介していきます。
お子さんや周囲に気になる子がいる方はこちらの記事を読んで、適切なサポートをする手掛かりにしてみてください。
この記事の筆者は元小学校教員のライター、イズミックスです。学生時代は児童養護施設や不登校児童生徒のための適応支援教室でボランティア活動を経験。大学卒業後は8年間小学校教員として勤務。現在は子供の生活や教育問題に関する記事を執筆しています。中学生と小学生の母。
この記事の目次
ADHDとは?
ADHDは日本語で「注意欠陥多動性障害」と呼ばれる発達障害の一つです。
調査では3~7%の人にADHDの傾向が見られるという結果が出ています。
その調査から考えると、クラスに1人か2人はADHD傾向の子供がいる計算になり、けして珍しい障害ではないといえるのではないでしょうか。
主な特徴は「不注意」「多動性」「衝動性」の3つです。
それぞれの典型的な行動のために日常生活に何らかの支障をきたしています。
大人に注意されることや友達とのトラブルが多いADHDの子供。
ですからADHDの特性を持つ子供には、周りの大人からの適切なサポートが必要不可欠です。
適切なサポートがないと子供は孤立し、自己肯定感の低い大人になってしまいます。
ADHDの子供に多く見られる行動は以下のとおりです。
不注意
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多動性
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衝動性
|
上のような行動は通常の子供にも見られるもの。
こうした行動が見られるからといって、必ずしもADHDということではありません。
上のような行動があっても、年齢的に許容される程度ならば性格や環境からくるものといえるでしょう。
ですがADHDの子供の場合は年齢にそぐわないレベルでこういった行動とってしまいます。
私が教員時代に担任した小5の子供は、家庭訪問の時に大人の背の高さ以上もある食器棚に上り下りして遊んでいました。
私は大変驚いてしまったのですが、家庭では慣れてしまい日常的な光景だったようです。
そしてこうした行動が一定期間ではなく成長しても変わらずに継続するのも特徴になります。
特性である行動のために度々先生に注意されたり、友達とトラブルになったりすることが多いADHDの子供。
そのために自己肯定感がもてなかったり、クラスで浮いてしまい孤立したりしがちです。
曖昧な表現が理解しにくい特性も
ADHDの子供は「不注意」「多動」「衝動性」の他に、発達障害の子供に共通する特性も見られます。
発達障害の子供は曖昧なことを理解するのが苦手です。
「これ」「あれ」「そこ」などの指示語が入る文章を理解するのが苦手なので、「それをしまいなさい」と言われるとよく分からなくなってしまいます。
「鉛筆を筆箱にしまいなさい」などと具体的な表現で伝えてあげるのがよいでしょう。
また物事のさじ加減も分かりにくい特性も見られます。
「薬を飲むので水を持ってきて」ではなく、「薬を飲むのでコップ1杯の水を持ってきて」などと具体的な量や時間を伝えてあげるのが理解しやすい表現です。
発達障害を持つ子供はまた場の空気を読むことも苦手。
空気を読むには相手の表情や言葉の発し方など微妙なことから、相手の気持ちを理解する必要があります。
曖昧な表現を理解するのが苦手な発達障害の子供にとって、当然空気を読むことも難しいことです。
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ADHDの原因は?
発達障害の一つであるADHD。
発達障害の原因は生まれつきの脳機能の発達上の偏りです。
この偏りのせいで情報を獲得したり、維持したり、運用したりするする時に問題が生じてしまうのです。
発達障害は「ADHD(注意欠陥多動性障害)」「ASD(自閉症スペクトラム障害)」「学習障害(LD)」の3つのグループに分かれます。
生まれつきの脳の機能の問題なので、育て方や性格によるものではありません。
ですが知的障害が伴わない発達障害は、周囲になかなか理解されにくいものです。
ADHDの子供も、周囲の理解がなければ「落ち着きのない子」「うるさい子」「自分勝手な子」と思われてしまいます。
先程紹介したADHDの子供に見られる行動は、脳の機能上からくる行動です。
もちろん脳の機能を変えることはできません。
ですから発達障害は完治させることはできないといえます。
ですが一人一人にあったサポートをすることで、子供が感じている困難を軽減させることは可能です。
そこで次の章ではADHDの子供が抱える困難を軽減させるためのサポート方法を紹介していきます。
ADHDの子供への親のサポート方法とは
環境調整
環境調整とは子供が適切な行動をとりやすいように環境を整えることです。
家庭でできるものや学校で行ってもらう環境調整があります。
家庭でできる環境調整
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学校にお願いしたい環境調整
ADHDの子供の特性として、曖昧な表現が伝わりにくかったり、物事の順番が混乱しやすかったりということがあります。
先生に子供の特性を伝えて配慮してもらえるようにお願いしましょう。
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関係機関に相談する
家庭や学校での環境調整で子供の抱える困難が軽減でき、問題なく学校に通えていれば環境調整を続けていくとよいでしょう。
ですが学習に支障をきたしたり、友達とのトラブルが絶えなかったりする場合は関係機関への相談が必要です。
学校でも担任だけでなく学校内の特別支援教育コーディネーターに相談すると、より専門的なアドバイスを受けたり専門機関を紹介してもらったりできます。
紹介してもらった関係機関や学校、そして家庭が連携することで、子供によりよいサポートをすることができるでしょう。
ペアレントトレーニング
ペアレントトレーニングとは、親がその子供に合った環境調整や肯定的な声がけなどを学ぶプログラムです。
親が子供とのよりよい関わり方を学んで実践することで、子供の適切な行動を増やし不適切な行動を減らしていきます。
また子供を肯定的に見られるようになったり、同じ障害を持つ子供の親とつながったりすることで、親の育児ストレスを軽減させる効果も。
プログラムの内容は講義の他に、ロールプレイングで実際の場面を想定して適切な声がけを学んだり、同じ障害を持つ子供の親と悩みを共有しながら話し合ったりすることが行われます。
ペアレントトレーニングを行っているのは各県の発達相談支援援センターや教育センターなどの行政機関。
その他にも医療機関や大学付属の心理センター、NPO法人などでも行っています。
ソーシャルスキル・トレーニング(SST)
ソーシャルスキル・トレーニングとは、ADHDの子供自身が状況に応じた適切な行動を学ぶトレーニングです。
社会生活を送る上で必要なスキルを子供に身につけてもらいます。
ソーシャルスキル・トレーニングは行う機関によって内容が違います。
よく用いられるのは数人でボードゲームで遊びルールを学んだり、実際の場面を想定してロールプレイしたり、役割を分担して共同作業を行ったりする手法です。
ソーシャルスキル・トレーニングを行っているのは、医療機関や療育センター、発達障害児の放課後デイサービスなど。 、
ですが家庭や学校でできるソーシャルスキル・トレーニングの本もたくさん販売されています。
そうした本を参考に家庭でソーシャルスキル・トレーニングを取り入れるのもよいでしょう。
薬物療法
ADHDの症状を和らげる方法として薬が処方されることもあります。
ADHDを完治させるものではなく、ADHDの症状によって子供が生活上大きな問題を抱えている時に用いられる療法です。
相談できる関係機関
子供がADHDで家庭や学校で問題を抱えていたり、親が子育てに悩んでいたりする場合は関係機関への相談が必要です。
ADHDの相談ができる機関は以下のようになります。
相談する時は事前に連絡してADHDの相談を受けてもらえるかを確認しましょう。
|
マイナスだけでなくプラスの面としてとらえる
「集中力がない」「空気が読めない」などとマイナスにとらえられがちなADHD。
ですが、その特性をプラスの面としてとらえてあげることで彼らの自己肯定感を育てることができます。
以前担任をしていたA君はすぐに集中力が切れて、授業中の立ち歩きが目立っていました。
そういった時はプリントを配ってもらうなど、ちょっとした作業を頼んでいました。
座っていることが苦手なので、何でも張り切って引き受けてくれたA君。
喜んで働けるというのは彼のよい面といえます。
また今まで何人かのADHDの子供と接したことがありますが、ADHDの子供たちはおしゃべりで、人とのコミュニケーションが好きな子が多いように思います。
友達とのトラブルが多いのも、人に積極的に近づくからといった側面もあるのではないでしょうか。
また有名人の中に多いのがADHD。
通常発達の人とは違った感性は、芸術分野などで大きな花を咲かせることもあります。
学校という決まりごとが多い場所では「困った子」と言われてしまうADHDの子供。
ですが違う場所ではその個性が生かされることも多いのではないでしょうか。
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まとめ:ADHDを正しく理解して子供に合った適切なサポートを!
今回は子供のADHDについて詳しく紹介しました。
けして珍しい障害ではないADHD。
「もしかしたら、うちの子は?」と感じている方は、ぜひ学校や関係機関に相談することをおすすめします。
大人がしっかりADHDを理解して適切なサポートができれば、子供が抱える困難は軽減可能です。
ADHDを個性の一つとしてとらえ、上手に付き合いながら社会生活を送る術を子供に身につけさせてあげることが大切なのではないでしょうか。
この記事の筆者は元小学校教員のライター、イズミックスです。学生時代は児童養護施設や不登校児童生徒のための適応支援教室でボランティア活動を経験。大学卒業後は8年間小学校教員として勤務。現在は子供の生活や教育問題に関する記事を執筆しています。中学生と小学生の母。
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