自分の子どもは育てにくい、ほかの子どもとの違いを感じる、保育園や幼稚園などの集団生活に馴染めない…なんとなくそんな風に感じることはありませんか?ほかのママに相談してみても、「ウチもそうだよ~」「考えすぎじゃない?」と言われてしまいさらに考えてしまうことも…。
もしかしたら発達障害かもしれない、または、お医者さんに発達障害かもしれないと診断されたお子さんを育てている保護者の方、さらには周囲に発達障害と思われるお子さんや大人の人がいる方はいませんか。
どんな風に関わったらいいのか、注意する点、配慮する点はどんなことか迷って悩んでしまいますね。
まずは、発達障害とは何か?どんな特性があるのかを知り、保育園や幼稚園、学校との連携や、保護者の関りのコツを考えてみましょう。
この記事の筆者は、元保育士ライターの炭本まみです。保育士として10年勤務、自閉症スペクトラム症とADHDのわが子を育てながら、障害のあるお子さんと障害者スポーツやアウトドア体験などを通して関っています。現在は保育士や幼稚園教諭、障害のあるお子さんの保護者に向けたコラムを執筆しています。
この記事の目次
発達障害の種類とは?
発達障害とは生まれつきの脳神経の伝達不足による、先天性の障害です。
発達障害であるという診断は医師が行います。
知能検査や発達検査を行い、その結果を見て医師が発達障害だと診断をしますが、成長過程であったり年齢が低すぎる場合は、診断がつかず「グレーゾーン」(発達障害かもしれないし、違うかもしれない)という診断を付ける医師もいます。
子育て相談や発達の定期健診などを担当している保健師や保育士には、発達障害の診断はつけられません。
また、親の育て方やしつけがなっていないため、発達障害を引き起こすものでもありませんので、後天性の障害ではありません。
発達障害には、様々な種類があり、その障害の特性やその子どもの「困り感」に応じて、対応が違ったり、投薬を行ったり、療育をしたりして成長の経過をみていきます。
まずは、発達障害の種類をみてみましょう。
1.自閉症スペクトラム障害(アスペルガー・高機能自閉症など)
自閉症スペクトラム障害とは、自閉症やアスペルガー症候群、広汎性発達障害などの総称した障害です。
診断をするときの年齢や状況によって診断名はそれぞれに変わります。
特徴としては以下のようなことがあげられます。
- 社会性が乏しく、対人関係を築きにくい
- ひととのコミュニケーションが希薄であり、言葉の遅れがある
- ひとつのことに集中したり固執したりし行動や興味・関心に偏りがある
原因は不明ですが、後天的な原因はなく、脳の先天性の障害と言われています。
2.ADHD
ADHDとは、注意の欠如と、落ち着きのなさが特徴的な発達障害です。
家庭で過ごしている時や、年齢の小さなときはわかりにくいのですが、幼稚園や保育園、小学校へ入園・入学し集団生活を送るようになると、他の子どもとの差が歴然としてきます。
特徴としては以下のような様子があげられます。
- 不注意が多いタイプ~短時間しか集中できない、音や視覚などの刺激ですぐに注意が逸れてしまう、忘れ物が多い、整理整頓ができない、考え事などに没頭すると名前を呼ばれても気づかないなどの行動が見られます。集団生活を送ると他の子どもとの差を感じ、自信を失くす子どもも多く存在します。
- 多動性が強いタイプ~無意識のうちに体が動きじっとしていられない、行列などの順番を守れない、授業中など出し抜けに答える、気持ちのコントロールが苦手で空気を読まず思ったことを言ってしまうなど、集団生活を送ることで目立つ特徴があります。
- 不注意と多動性をあわせ持ったタイプ~両方の特性が見られます。
ADHDも先天的な脳の機能障害です。
SST~ソーシャルスキルトレーニング(社会で人と人とが関わりながら生きていくために欠かせないスキルを身につける訓練)を受けたり、周囲の大人が行動や言動について支援したり医療機関で投薬を行う子どももいます。
3.学習障害
学習障害とは、知的な発達に遅れはありませんが、文字を読んだり書いたり、話したり、計算をしたりする能力の遅れがある障害です。
幼稚園や保育園の年長から小学校入学時に気づくことが多いでしょう。
学年としては1学年から2学年ほどの遅れが生じることがほとんどです。
発達や知的な遅れがないため、努力が足りない、家庭学習を増やしてなど、様々なことを求められ、障害に気づかないままに親子で追い詰められることもあるでしょう。
自信が低下し、学習に対する意欲が減退したり、勉強が嫌いになってしまうこともあります。
気になったときは医療機関や相談支援で診断を受け、適切な療育を受けましょう。
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自閉症スペクトラム障害のある子どもへ、関わりのポイントは?
自閉症スペクトラムの子どもは、対人コミュニケーションは苦手なため、会話が成り立っていないような印象を受けるかもしれません。
ですが、話を聞いていないわけではありません。
また、興味を持っていないわけでもないのです。
その子ならではの反応を感じ取り、諦めることなくこちらからコミュニケーションを取っていきましょう。
声かけや関わりの際に気を付けたい基本的なポイントとしては以下のようなことがあげられます。
声かけは簡単でわかりやすく
端的でカンタンな言葉を使い、言い回しはいつも同じようにしましょう。
「あれ・それ」「もう少ししたら」「あとちょっと」など抽象的な表現は伝わりにくいので、「赤い帽子」「机の上のコップ」「1時半になったら出かけよう」「10分経ったら帰るよ」など具体的に伝えます。
しっかりと見通しを持たせることが本人の安心につながるでしょう。
安心と集中ができる環境の用意
音や視覚への過敏さがある自閉症スペクトラムの子どももいます。
大きすぎるテレビの音や壁の装飾などはなるべく小さくシンプルにしましょう。
様々な音や視覚に気を取られてしまい、集中できなかったり落ち着かなくなったりイライラすることが減り、声かけに反応がよくなったり遊びや学習に集中できるようになっていきます。
先の見通しが理解しやすい伝え方を
出かける前の身支度や今後の予定・スケジュールなどは、イラストや文字・写真を使って視覚的にも理解できるように工夫します。
また、予定の変更に対してもストレスを感じるので、変更があるかもしれないことも伝えておきましょう。
偏りやこだわりが多いため、少しずつ広げてあげよう
ミニカーや汽車、お人形や水遊びなど、一つの事に集中して一日中それだけをして過ごすこともあります。
また、きちんと並べることや、決まった行動パターンなどにこだわりが見られることもあります。
子どもの心に寄り添いながらも、様々な経験をさせながら興味の幅を広げたり、行動パターンのバリエーションを増やしてあげましょう。
ADHDの子どもへ、関わりのポイントは?
ADHDの子どもの様子は、周囲から注意をされやすく目立つことが多いため、本人は自信を失くしがちです。
そのため、さらに障害の特性が強く出てしまったり、二次障害が出てしまうこともあります。
早く障害に気づき、支援や対応を十分手厚く行ったり、ストレスを感じにくい生活を送れるように環境を整える必要があります。
寄り添いながら、前向きで分かりやすい声掛けをする
失敗してもとがめたり感情的に怒ったりせず、気持ちを代弁したりし受け止めます。
そして、してほしい行動や望ましい行動を伝えてあげましょう。
感情的に怒鳴りつけたり自尊心を傷つけるようなきつい言葉をかけるのは本人を追い詰めるだけで何の意味も持ちません。
「どうしたの?悲しかったね。順番に並ぶといいよ。」などと声を掛けてあげましょう。
「何やってるの?」「いつもそうだね」「いい加減にしなさいよ」など抽象的で責め立てるような言葉はかけません。
すごい!ではなく、できたね!と認める声かけをしよう
褒めることも大切ですが、「できているね」「ありがとう」「助かるよ」など、認める声かけをしましょう。
できないことやミスに対しての声かけはなるべく少なくしていきます。
日常生活の中で認める言葉がけや、共感することを積み重ね、少しずつ自信を付けていきます。
できないことがあるけれど、得意なこともある、難しいこともあるけれど声かけをしてもらえれば直す(やめる)ことができたなど、自信がつけば行動も心も安定していきます。
学習障害のある子どもへの関わりのコツ
文字を書いたり読んだりすることが苦手だったり、罫線の中に文字を書くことができない、計算を何度教えても覚えられない、数の概念が理解できないなど、どんなことを苦手としているかを把握し、ゆったりとサポートしていきましょう。
パソコンなどを使って学習し楽しさを伝える
パソコンなどの読み上げ機能を使いながら、ひらがなの一文字ひともじを覚えていきます。
子どものペースに合わせてゆっくりと進めていきましょう。
また、文字を書けない場合は読めていないことが考えられるので読む練習をすすめます。
文字を書くことについては、文字をなぞるドリルやアプリケーションを使って楽しく学習を進めましょう。
計算も焦らずゆっくりと概念から学習
おはじきやカードを使い視覚を通して概念を覚えていきましょう。答えをすぐに教えてしまうのではなく、経緯や道筋も大切です。
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「スモールステップ」で小さな成長を喜び合うこと
発達障害の特性や症状は、診断名がついても一人ひとり様子が違います。
そのため、関わり方は手探りであり日々の積み重ねが必要でしょう。
また、これでいいと思っていた関わり方や声掛けも、その日によって伝わりにくかったり、成長によって変わってくることもあります。
子育ては難しい…。できることならもう辞めたい…。そんな風に思い悩む保護者の方がいるかもしれません。
ですが、心を込めて関わっていれば発達障害があっても確実に成長していくものです。
段差の少ない小さな階段を一歩一歩のぼるように、スモールステップでの成長をお子さんと共に喜び合いましょう。
学校・園の先生との連携をはかる
幼稚園や保育園、小学校へ入園・入学することになると集団生活がスタートします。
みんなと同じように椅子に座り、授業を受けることが難しい場合は、先生方に支援していただかなければなりません。
どのような声掛けをすると伝わりやすいか、こんな場面ではこのような伝え方が効果的だなど、お子さんのことをその都度伝えていきましょう。
小学校は普通学級のほかにも特別支援学級がある学校もあります。
普通学級の授業を受けながらも、心が不安定な時やイライラするとき、動きたい衝動がある日は、支援学級で過ごすことが可能です。
その際は、事前の教育相談が必要になるので、地域の教育委員会などへ問い合わせてみましょう。
関係各所(支援センター・病院など)との連携
発達に遅れや特異なものを感じた場合、どのような場所へ相談したらよいのでしょうか。
保健所や児童相談所、教育委員会などでも相談を受け入れてくれますが、詳しい診断やかかわりの方法については、発達障害の専門医がいる病院の受診が良いでしょう。
場合によっては、脳の伝達物質をスムーズにし生活がしやすくなる投薬も必要な場合があります。
そういった相談も病院なら詳しく聞いてくれるでしょう。
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発達障害であっても成長がある!喜びあって子育てを
発達障害の子どもは、育てにくく意思の疎通が難しかったり、友達と喧嘩をしてばかりだったり、幼稚園や保育園、学校では集団生活が難しく、もしかしたら先生に叱られることも多いかもしれません。
ですが、好奇心が強く、興味のあることには集中力を発揮したり、頭の回転が速く得意なことを見つけると追及しさらに特異を伸ばす能力にたけている面も持ち合わせています。
発達障害であってもなくても、子どもの得意なことや良い面を言葉にして伝えてあげることで、自信を持って伸び伸びと成長していくことでしょう。日本の学校での集団生活では困り感を多く抱えることになるかもしれません。保護者は一番の理解者となり、心をフォローしてあげたいですね。
一人で抱え込まず家族や相談機関、病院と連携を取りながら、子育てをしていきましょう。
この記事の筆者は、元保育士ライターの炭本まみです。保育士として10年勤務、自閉症スペクトラム症とADHDのわが子を育てながら、障害のあるお子さんと障害者スポーツやアウトドア体験などを通して関っています。現在は保育士や幼稚園教諭、障害のあるお子さんの保護者に向けたコラムを執筆しています。
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