「大きな音をとても怖がる」
「晴れた日にカーテンをすぐに閉めたがる」
「苦手な人のそばには絶対に行かない」
「嫌いな食べ物は絶対に食べない」
「洋服のタグをすごく気にする」
お子さんのこんな行動に思い当たる方はいらっしゃるのではないでしょうか?
こうした行動はもしかすると感覚過敏によるものかもしれません。
感覚が過敏すぎるせいで日常生活に支障をきたしてしまう感覚過敏。
子供は上手く言葉で表現できませんが、実は感覚過敏で苦しんでいる子は多いのかもしれません。
そこで今回は子供に見られる感覚過敏の症状や原因、望ましい対処法について詳しく紹介します。
「どうしてこの子はこんなに敏感なんだろう?」と気になっている方はぜひ読んでみてください。
この記事の筆者は元小学校教員のライター、イズミックスです。学生時代は児童養護施設や不登校児童生徒のための適応支援教室でボランティア活動を経験。大学卒業後は8年間小学校教員として勤務。現在は子供の生活や教育問題に関する記事を執筆しています。中学生と小学生の母。
この記事の目次
感覚過敏とは?
感覚過敏とは、感覚が敏感すぎて人よりも強い刺激として感じられる状態です。
ここでいう感覚とは、まずは一般的な五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)が挙げられます。
その他にも平衡感覚や音感、温度差、痛みなどを人より強く感じることも感覚過敏に含まれる状態です。
感覚過敏がない人には何でもない刺激でも、感覚過敏の人は強い刺激として受け止めてしまいます。
ですから人よりも生活で不快や苦痛を感じることが多いのです。
家庭と違って幼稚園や保育所、学校は人が多く、その分多くの刺激であふれる場所。
何らかのサポートがないと、感覚過敏の子供は我慢ばかりを強いられることになります。
ですが大人がその子がどんな感覚過敏があるか理解し、適切なサポートをできれば子供の負担は軽減可能です。
そのためにも大人は感覚過敏について、きちんと理解する必要があります。
ところで感覚過敏と聞くと、その人の全部の感覚が過敏なように聞こえますよね。
ですが感覚過敏の人は必ずしも全ての感覚が過敏なわけではありません。
一つの感覚だけ過敏だったり複数の感覚が過敏だったりと、その人によって違いがあります。
ですから、その子の過敏な感覚についてだけサポートすればよいということです。
発達障害の子に多く見られる
発達障害を持つ人には感覚過敏の特性が見られる場合が多くあります。
とくに自閉スペクトラム症(ASD)特性のある人は、90%が何らかの感覚過敏を持ち合わせているという調査結果も。
ですが感覚過敏があれば必ず発達障害を併せ持つというわけではありません。
通常発達の人でも感覚過敏がある場合も多くあります。
感覚鈍麻も感覚における問題
感覚過敏と同じように感覚の問題として取り上げられのが感覚鈍麻です。
感覚鈍麻は感覚が鈍いことから生活に支障が出てくる状態。
例えば視覚に感覚鈍麻がある子が教室内を移動するとします。
視覚の感覚鈍麻の子供は目的地だけが目に入り、他のものが視覚に入らないのが特徴の一つです。
ですから人や机などにぶつかることが多く、クラスメイトとトラブルに発展してしまうことがよくあります。
感覚鈍麻も学習や生活に支障をきたすことが多い状態。
感覚の鈍さをカバーするようなサポートが必要といえます。
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感覚過敏の原因は脳の特性
子供の感覚過敏や感覚鈍麻の原因と考えられているのは、生まれつき持っている脳の特性です。
人間は音や光、匂いなどの刺激を受けた後、一度脳で処理することで初めて認識します。
ですから同じ大きさの音を聴いても、その人の脳の処理の仕方で感じる刺激が大きく違ってくるのです。
通常の感覚の人なら「ちょっと大きいな」ぐらいに感じる徒競走のスタートのピストル音。
ですが感覚過敏の人には爆発が起きたように聞こえてしまいます。
これは感覚過敏の人の脳が、ピストル音をそのように処理してしまうからです。
感覚過敏は脳の特性ですから、病気というわけではなく、むしろその人の個性ともいえます。
もちろん薬や治療で治せるものではありません。
ですから感覚過敏を持った人の苦痛をなるべく少なくなるように、生活をサポートするのが基本的な対処法になります。
ですが素人判断ではなかなか判断はつかないものです。
気になることがあれば子供の発達に詳しい小児科や発達の相談ができるところに相談してみるとよいでしょう。
気分や体調でも刺激の強さが変わってくる
脳の特性が主な原因である感覚過敏ですが、その時の気分や体調で感じる刺激の強さも変わってきます。
不安な状態や体調が悪いと嫌な刺激をより強く感じてしまうことに。
また夢中になって何かに取り組んでいれば、強い刺激を感じずにすむことがあります。
3歳から8歳はとくに感覚が敏感
人間は3歳から8歳まではとくに感覚が敏感な時期です。
これは感覚過敏の人もそうでない人にも当てはまります。
例えば、この時期の子供は辛味や酸味、苦味を感じる感覚が大人よりも強いので、こういうものをあまり好みませんね。
大人になると味への感覚が鈍感になるので、辛いものや酸っぱいもの、苦いものを美味しいと感じるのです。
また我が家の息子は低学年の時まで髪をブラッシングする時に、大人なら気持ちいいと感じるブラシの毛先をとても痛がりました。
痛みを感じる感覚が今より敏感だったと思われます。
3歳から8歳までは感覚過敏でない子でも刺激を強めに感じて、嫌な思いをすることが多い時期です。
ましてや感覚過敏の子供がかなり苦痛を感じていることは想像に難くないといえるでしょう。
この時期に我慢をさせることで、子供はよりその感覚を強く意識してしまうことになります。
その結果、さらに感覚過敏の度合いが強まる結果に。
ですから、なるべく子供が苦痛を感じないような対策をしてあげることが重要です。
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子どもの感覚過敏の症状や対処法
それでは主要な感覚過敏である五感について、苦手なことや適切なサポート(対応)を紹介します。
視覚
苦手なこと
|
サポート(対応)の方法
|
聴覚
苦手なこと
|
サポートの(対応)方法
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嗅覚
苦手なこと
|
サポート(対応)の方法
|
味覚
苦手なこと
|
サポート(対応)の方法
|
触覚
苦手なこと
|
サポート(対応)の方法
|
感覚過敏への基本対応は嫌な感覚から遠ざけること
感覚過敏は嫌な感覚を我慢することで、さらに過敏の度合いが強まります。
ですから子供が嫌な感覚を強く意識しないでいられる状態にすることが大切です。
嫌な感覚から離す
「大きな音がするものに近づかせない」「特別教室など苦手な場所に連れていかない」「苦手な食べ物を食べさせない」「洋服のタグを外す」など、嫌な感覚から距離をとるようにします。
感覚過敏を和らげる方策を使う
聴覚過敏の子共には音を遮断するノイズキャンセラーやイヤーマフ、耳栓を、視覚過敏で強いまぶしさを感じる子供にはサングラスを使わせるなどして、感覚過敏の苦痛を和らげる方策を使いましょう。
安心材料を作る
①刺激を予告する
感覚過敏の子は急な刺激にすごく弱いもの。
ですが刺激の予告をすることで少し苦痛が和らぐことに。
例えば人から触られることが苦手な子には「今から肩に手をおくよ」と予告すると、急に触られるよりも刺激は弱まります。
また、この刺激がどれくらいの長さが続くかを教えてあげるのも有効です。
私たちが歯医者で治療を受ける時に、先生は「ちょっとだけ痛いよ」「響くような感じがするよ」と予告してくれますよね。
予告されているだけで、恐怖心はだいぶ違ってきます。
同じように感覚過敏の子にも「どれくらい我慢すれば終わる」という目安を与えてあげることが大事です。
②安心できる人と行う
嫌な刺激があっても安心できる人といることで、刺激が弱く感じられます。
大きな音が苦手な子がいたら、運動会の時はなかよしの友達と近くの席にしてもらえれば苦痛は少しは改善されるでしょう。
③安心できる場所やモノを作る
感覚過敏の人は、静かで周囲の刺激から守られるような囲まれた場所を好みます。
イメージとしては子供用のおもちゃのテントやダンボールハウスといった感じです。
そういう辛くなったら逃げ込めるスペースが教室にあるとずいぶん楽になるでしょう。
なかなかそこまではできない場合は、触り心地のよいもので心を落ち着かせるのも一つの方法です。
手触りのよい布製品やスライムなどを触ると落ち着くという子もいます。
ポケットや机の中に入れておいて、刺激が辛い時に触るとよいでしょう。
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保育所や幼稚園、学校へ相談する
家庭では子供が嫌がる刺激をある程度取り除き、落ち着ける環境を作ることはそれほど難しくありません。
ですが保育所や幼稚園、学校では人が多く、様々な活動があるので、辛い刺激を我慢しなくてはいけないことも多いでしょう。
ですから子供に感覚過敏がある場合は、保育所や幼稚園、学校に相談して、何らかの配慮をしてもらうようにお願いすることが大切です。
繊細さんHSPとの違いは?
最近、「繊細さん」として関連書籍も多く出版されているHSP(Highly Sensitive Person)。
HSPとは非情に感受性が強く繊細、そして周りの空気を読み過ぎてしまうので非常に疲れやすい人のことです。
HSPの人の中にも音や光、匂いなどの刺激に非情な敏感な人が多くいます。
HSPの人は、人の気持ちや音や光などの刺激を感じる脳の領域の活動がとても活発です。
こちらも感覚過敏と同じように生まれながらの脳の働きの特性。
全く同じではありませんが、似たような仕組みで起きているといえるでしょう。
感覚過敏は才能でもある
人よりも強く刺激を感じる感覚過敏は生活で苦痛を感じることが多く、困ったこととばかり考えられがちです。
ですが感覚が鋭いということは一つの才能でもあります。
聴覚過敏がある子供が大きな音を嫌がるのは、とてつもなく大きな音に感じられるから。
ということは通常の感覚の人より、小さい音もよく聞き取ることができます。
こうしたことは音楽の仕事や機械製作の仕事をする上で非常に役立つ能力です。
また味覚過敏の子供の感覚の鋭さは、将来料理や食品開発の分野で強い武器になるでしょう。
感覚過敏はそこから生じる苦痛や生活上の支障さえクリアできれば、その子の優れた特性として生かすことができるもの。
その才能をつぶしてしまわないように大人は感覚過敏をしっかり理解し、その子に一番適したサポートをしていく必要があります。
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まとめ:子供の辛さを大人が気づいて適切なサポートを
今回は子供の感覚過敏について紹介しました。
感覚が鋭すぎることで、人より刺激を強く感じる感覚過敏。
今まではあまり問題視されていませんでしたが、実は毎日つらい思いをしている子供は多いのかもしれません。
一番感覚が敏感な時期である3歳から8歳の子供は、自分のつらさを上手く言葉で表現できない場合がほとんどです。
この時期に我慢をさせ過ぎると、感覚過敏の強さはより強まります。
また感覚過敏を我慢し続けると子供が疲弊し、最終的には不登校につながるケースも…。
大人は子供のつらさに気づいて適切なサポートをすることが必要です。
またお子さんに気になることがあれば、小児科や保健所、発達の相談ができる機関に相談することをおすすめします。
この記事の筆者は元小学校教員のライター、イズミックスです。学生時代は児童養護施設や不登校児童生徒のための適応支援教室でボランティア活動を経験。大学卒業後は8年間小学校教員として勤務。現在は子供の生活や教育問題に関する記事を執筆しています。中学生と小学生の母。
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