子どもが不登校になったとき、「どうすればいいのだろう?」「誰に相談すればいいのだろう?」と、多くの親御さんが悩まれます。
子どもにとって、一番頼りになるのは、いつもそばにいる家族です。
親が子どもの不登校の子どもをどのようにサポートすればいいのか、不登校の原因と親ができることを心理カウンセラーが詳しく解説します。
不登校や発達障害に関する問題を扱う心理カウンセラーの団体を主宰。カウンセリングやコーチング、メンタルトレーニングの他、セミナーや執筆活動を通じて、自分らしくしあわせに生きるためのサポートやアドバイスを行っています。2児の父。
この記事の目次
不登校の主な原因とは?
子どもが不登校になってしまう原因は、どんなものがあるのでしょうか?
【不登校の原因①】
いじめが原因で不登校になるケース
あなたもニュースや新聞などで、いじめが原因で不登校になったという話を見たり聞いたりしたことが一度はあるのではないでしょうか。
いじめとまではいかなくても、友だちと関係がぎくしゃくしたり、ちょっとしたいさかいが起きたことがきっかけで不登校になるケースが多いと言われています。
大人でも職場でのいじめによって心身の不調をきたしたり、うつ病になったりする方がいます、ましてや逃げ場のない学校でいじめを受けた子どもが不登校になるのは当然ともいえます。
では、いじめによって学校に行けなくなった子どもは、いじめがなくなれば学校に行けるようになるのでしょうか。
実は、不登校の原因はいじめそのものよりも、友だちとの関係が悪くなったりいじめられた時にそれを一人で抱え込んでいることにあります。
学校で先生との関係や友だちとの関係など、人間関係で何かしらのトラブルが起きることは珍しいことではありません。
何かが起きた時に、
・親にいつでも相談できる信頼関係が築けていない
・相談できたとしても親が適切な対応ができていない
ということが不登校の原因になっています。
その問題を解決するには、不登校の子どもに共通する、もっと深い部分にある根本原因に目を向ける必要があるのです。
【不登校の原因②】
発達障害が原因になるケース
不登校の原因としてあげられることが多いのが発達障害です。
子どもが不登校になってから病院などで検査を受けさせた結果、発達障害があることがわかったという経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
発達障害がある子どもの多くは先生や周りの子どもたちとの人間関係を築くのが苦手な傾向にあります。
周りの子どもたちができることができない、周りのペースについていけない、友だちができない、そういったことに悩み、学校に行けなくなる子どもが多くいます。
さらには、以下のような発達障害の特性も不登校の一因となっています。
・ひとりでいることを好み集団の中では自分の居場所を見つけられない。
・相手の気持ちを理解しにくい。
・あるいは相手の気持ちを考えすぎて疲れてしまう、など
発達障害があっても楽しく学校に行っている子どもをみると、親や先生、周りの子どもたちが上手な関わり方をしています。
発達障害があると不登校になりやすいという事実はありますが、それが直接の原因ではありません。
発達障害がある子どもがなぜ不登校になりやすいのか、そのことについて考えてみる必要があります。
【不登校の原因③】
不登校の本当の原因は「不安」だった?
不登校の子どもは程度の差こそあれ、一様にある不安を持っています。
それは「役立たず不安」と呼ばれるものです。
役立たず不安とは、「人から役立にたたない人だと思われているんじゃないだろうか」「自分は周りの人の役に立つことができないんじゃないか」という不安です。
・自分だけがまわりの人たちと違う。
・こんな自分は誰からも相手にされないんじゃないか。
人間は、集団から排除されることに対して強い恐れを感じます。
「あいつは何の役にも立たない、必要がない」と思われことに対する不安に、人は耐えられないため、その状況を避けようとします。
それを避けるためにとる行動は2つあります。
ひとつは無理してがんばって集団の中で役立つように合わせること
もうひとつはその集団から外れることです。
無理してがんばって集団の中で役立つように集団に合わせることができないと、集団から外れるという選択をします。
だから、「役に立たない自分は必要とされないのではないか」という「役立たず不安」を感じる子どもは「学校」に行けなくなるのです。
不登校の子どもに親ができることは?
では、子どもが不登校になってしまったとき、親にできることにはどんなことがあるでしょうか?
1.子どもを守る
わが子を守るということは、親の大切な役目です。
子どもの身体の安全を確保するだけではなく、心を守ることも必要です。
親がいつでも、どんな時でも100%子供の味方でいてあげることで、子どもは守られていることを感じ、安心感を得ることができます。
たとえば、先生に怒られて落ち込んでいる時「先生に怒られないようにちゃんとしなきゃダメでしょ」と親からたしなめられたら、子どもは誰も味方がいないと感じます。
先生に怒られるような良くないことをしたのだと一方的に決めつけず、子どがなぜ怒られるようなことをしたのか、しっかり話を聞いてあげて、子どもの気持に寄り添い、子どもの味方でいてあげることが大切です。
それは子どもの肩を持つとか、子どもを叱ってはいけないとかいうことではなく、何があっても子どもを守ってあげるという姿勢を見せるということです。
子どもの味方でいてあげる、子どもを守ってあげるという姿勢が子どもに伝わることで、子どもは「自分は必要とされている」ということを感じられ、学校にも行くことができるようになります。
2.「傾聴」と「共感」で子どもの気持ちに寄り添う
ここでは、実際に不登校の子どもをもつAさんの事例をご紹介します。
不登校の子どもを持つAさんは、不登校専門のカウンセラーから「子どもに共感する」ということを教わり、家に帰ってきてすぐに実行しました。
その当時のAさんの子どもは、トイレ以外は一日中布団の中で過ごしていて、風呂にも入らず、食べ物は布団の横に置いておくといつの間にか食べているといった状態でした。
子どもとほとんど会話することもできず、どのように接していいのかわからずに悩んでいたAさん。
子どもがたまたま何かを話しかけてきた機会に、Aさんは丁寧に話を聴き「共感」を実践。
すると、子どもはAさんにゲームの話をし始め、20分、30分と話が続きます。
Aさんは時々相槌を打ちながら全力で話を聴きました。
Aさんの発言は子どもの質問に時々答える程度。ほとんど聞き役に徹していました。
何度かそんなことをしているうちに少しずつ子どもとの会話が増えていき、コミュニケーションがとれるように。
それからほどなくして、子どもは自分で風呂場に行ってシャワーを浴びるようになり、布団から出て食卓でご飯を食べるようにもなりました。
共感しながら丁寧に話を聴くだけですぐに変化があったことは驚きです。
子どもにとって、真剣に話を聴いてもらえるというとこは、自分が必要とされていることを感じられるということです。
そのことによって、役立たず不安が解消されていくのです。
傾聴というのは、相手の話をすべてしっかりと聞くことです。
正しくない言葉も、言ってほしくない言葉も、一旦は否定せずにそのまま聞いてあげることが大事です。
すべてを肯定の言葉で受け取ってあげましょう。
3.共感と同調の違いに気を付ける
子どもが、「Bさんはひどいんだよ。あんなことしたり、こんなことしたりするんだよ。」
といった話をした時、あなたならどのように対応しますか。
「ええっそうなの。Bさんはそんなことするんだね。それはひどいね。なんでそんなことするんだろうね。そんなことされたら迷惑だよね。」
こんな風に相手と同じような意見を言うことが同調しているということです。
ネガティブな話題に同調すると、どんどんネガティブな方に感情が引きずられて行き、お互いに嫌な気持ちになり、一緒になってBさんを非難しはじめることにもなりかねません。
こんな時は、同調ではなくて共感することが大事です。
「Bさんはひどい」ということに共感するのではなく「子どもがBさんのことをひどいと思っている」ということに共感することで、子供の意見を肯定も否定もせずに共感できます。
子どもの言動に同意できてもできなくても、まずはそれを否定せずに子どもは今、そう感じているのだという、子どもの気持を理解してあげることが大切です。
4.コミュニケーションの7つの鉄則
子どものとのコミュニケーションにおいて意識しておいていただきたい大切な7つのポイントをお伝えします。
- 手を止めて、顔と体を子どもに向けて話す。
- 子どもの顔を見て、目を見て話す。
- おだやかな声で話す。
- すぐ返事をする、すぐ対応する。
- しっかり聞く、とにかく傾聴。
- 共感し、うなづきながら、全肯定。
- 肯定的な言葉でゆっくり丁寧に話す。
これを意識するだけで、子どもの自己肯定感が高まり、安心感を与えることができます。
ぜひ、実践してみてください。
親の影響力を高める方法は?
親子でコミュニケーションをとりたいと思っても、子どもは親の言うことを聞いてくれないし…と悩んでいる保護者もいるのではないでしょうか。
どうすれば親の言葉が子どもに届くのか、について解説します。
親の笑顔が一番!
あなたは、笑顔でニコニコしていてしあわせそうな人の言葉と、しかめ面でため息ばかりついて、あまりしあわせそうじゃない人の言葉、どっちの人の言葉を聞きたいと思いますか。
もちろん、笑顔の人の言葉ですよね。
親の姿を見て「しあわせそうじゃない」「いつもつらそう」と感じている子どもは、親のようにはなりたくないと思うようになります。
親の姿を見て「いつもしあわせそう」「いつも楽しそう」と感じている子どもは、親のようになりたいと思うようになります。
子どもが自立できるように、正しく成長できるようにと、親が子どもにどれだけ多くのことを教えても、子どもが親のようになりたくないと思っていては、子どもの心には響きません。
親が笑顔でいることで子どもに良い影響を与えることができます。
不登校を解決した親がやっていること
ある不登校解決講座では、親が集まって沖縄合宿を行い、目いっぱい楽しみながら心のあり方を学ぶセミナーを行っていました。
そこで学んだ親たちは、子どものカウンセリングなどをすることなく、不登校の問題を改善することができています。
不登校の子どもが家で暴れる日々が続いていたある家庭では、仕事しか眼中になかったようなお父さんが、仕事よりも自分が楽しいと感じられる生き方をするようになり、子どもが有名大学に合格するまでになりました。
自分の特技・趣味に生きがいを見つけたあるお母さんは、不登校だった子どもが不登校の悩み相談をするまでになった姿が新聞に紹介されました。
私自身、公務員をやめて起業し、自分がしあわせだと感じられる日々を送るようになりました。
すると、小学校1年生から不登校だった中学2年の息子が自然と学校に行くようになったのです。
子どもがしあわせになるために親ができる一番のことは、親自身がしあわせになることです。
親がしあわせになることが、不登校解決のために最も大切なことなのです。
まずは、親自身が、しあわせだと感じられる生き方を目指してみませんか。
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