不登校になると、生活リズムが崩れ、勉強をする気力もなくなることがよくあります。
ゲーム依存、昼夜逆転となり、教科書や参考書を開くこともなる、という話を聞くこともあります。
しかし、今は学校に行けないのだとしても、勉強だけは遅れないように続けられたらいいのに、と思うのではないでしょうか。
そこで、不登校中の勉強はどうすればいいのか、親はどんなことができるのか、ということを詳しく解説していきます。
不登校や発達障害に関する問題を扱う心理カウンセラーの団体を主宰。カウンセリングやコーチング、メンタルトレーニングの他、セミナーや執筆活動を通じて、自分らしくしあわせに生きるためのサポートやアドバイスを行っています。2児の父。
この記事の目次
不登校中に勉強のやる気を出すには
不登校になると、なかなか勉強のやる気を出すのが難しいということもあります。
そこで、勉強のやる気を出すための方法についてご紹介します。
1.気力が回復するまで休む
不登校になった子どもは、それまでなんとかして学校に行かなければと頑張ってきたものが耐えられなくなった状態です。
そんな状態で、無理に勉強しようとしても気力が湧いてこないのは自然なことです。
何よりも大事なのは、子どもが心身ともに健康でいられることです。
勉強の遅れが気になるかもしれませんが、まずはゆっくり休んで気力が回復するのを待つことが必要です。
親としては、「みんなが学校に行っている時間は家で勉強しなさい」「ゲームするくらい元気なのだったら勉強しなさい」など、勉強するように促したくなることはあるでしょうが、無理は禁物です。
焦らず、ゆっくり休ませてあげることで、勉強する意欲を早く取り戻すことができます。
2.できるものから始める
不登校になると、学校に行っている時のように、決まった時間に勉強するという習慣がなくなるため、机に向かったとしても、勉強に集中するには大きなエネルギーを必要とします。
苦手なものやあまり好きではないものより、得意なものや、やりたいものから始める方がやる気が出やすくなります。
遅れを取り戻そうとすると、苦手なものもやらなければと思うことがありますが、できるもの、やりやすいものから始めて勉強することに意識が向くようになってから、あまり得意でないものに手を付ける方が、すんなりと勉強に入っていくことができます。
ただし、子どもによって、やりやすい方法はそれぞれ違いますので、他の子がうまくいっているやり方をしたからと言って、うまくいくとは限りません。
子ども自身が、最もやりやすいやり方、ペースで行うことが大事です。
不登校中にできる勉強方法の選択肢
学校に行かなくても、勉強をする方法はいくつかあります。
お子さまに合った方法を探してみてください。
1.自習型
自習型というのは、自宅などで子どもが一人で勉強する方法で、人と交わりたくない、家から出られないという場合でも自分のペースで、その日の気分や体調に合わせて行うことができます。
また、学校の教科書などで勉強すれば費用もかかりませんし、自宅学習用に参考書を買うにしても塾などのように高額にはならないので、勉強のためのコストを抑えることができます。
ある程度自分で勉強する方法を身に着けていて宿題なども自主的にやってきた子どもには適していますが、これまで自宅で一人で勉強する習慣がなかった子どもにとっては最初のうちは勉強のやり方などについてサポートが必要です。
自宅で勉強する時は、テレビやスマホ、ゲーム機などがあると、ついそっちに夢中になってしまう、ということがあるので、集中するには強い意志が必要になる場合があります。
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2.スクール型
スクール型は、塾やフリースクールなど、勉強を教えてくれる場所に出向いていくものです。
学校には行けないけれども、塾やフリースクールなら行くことができる、という子どもであれば、選択肢の一つになります。
不登校になった当初は家から出られない子どもでも、落ち着いてくれば、学校のように決められた時間にみんなと一緒に行動したり必ず参加しないといけない行事があったり、ということがないフリースクールなら行くことができる場合があります。
そこで、親としては、学校に行けないならフリースクールにでもいいから行ってほしいと考えることがあるかもしれません。
そういった場所があるという情報を子どもに伝えることは必要ですが、行くかどうかを決める際には子どもの意志を尊重することが大切です。
3.通信教育型
通信教育による学習であれば、自宅にいながら最新の学習教材を手にすることができ、効率的に勉強することができます。
パソコンやスマホ、タブレットなどを使って課題を提出しながら学習を進めていくことができ、継続的な勉強をすることが可能です。
毎月教材が提供されるなど、やることが明確で目標を立てやすく、モチベーションを維持しやすいと言えるでしょう。
ただ、やる気が出なかったり、途中でつまづいてしまうと、未提出の課題がどんどんたまっていき、挫折してしまう、ということがあります。
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4.コーチ型
コーチ型は家庭教師に家に来てもらう、あるいはオンラインで教えてもらう、という方法です。
不登校の子どもにも対応した家庭教師を行っているところなどもありますので、家から出られなくても、家族以外の人との交流が持てるという点で、子どもの視野が広がり、やる気が出ることがあります。
費用が高額になりがちで、一対一で指導してもらう場合は、コーチとの相性もあります。
子どもが楽しんで勉強できるかどうかが大事なポイントです。
5.趣味型
勉強というのは、机に向かって頑張ることには限りません。
ほとんど学校にいった経験のない子どもで、ネット上の動画やオンラインゲームなどからでも、世の中の動きを知ったり、言葉を覚えたりしています。
ほとんどゲームばかりやっている子どもでも、ゲームのプログラミングを覚えてそれを仕事にすることもあります。
本が好きな子どもであれば、夢中になって本を読んでいるうちに知識が身についていきます。
自分が好きなこと、やりたいことがあれば、学ぶ方法はいくらでもあります。
学校の授業を受けて幅広い知識を身に着けることはもちろん大切ですが、今はそれができないのであれば、学ぶことができるものから学んでいき、学ぶことの楽しさを知っておくことも一つの勉強法です。
親ができるサポートは?
不登校の子に対して、親としてどういったサポートができるのか悩んでしまいますよね。
ここからは、親ができるサポートをご紹介します。
1.子どもの意志を尊重する
子どもが不登校になると、どうしても勉強の遅れが気になりがちです。
何か勉強できる方法があるならと、あれこれ考えたくなりますが、親が頑張ろうとしても、子どもが自主的にやろうとしなければ、学習効果は上がりません。
また、親が教えられることは教えてあげようと、子供に付きっきりで手取り足取り教えることがあるかもしれません。
しかし、勉強というのは、自分の頭で考えながら、自分に合った方法で行うことで頑張ることができるものです。
わからないところを教えてあげるのはいいのですが、親が良いと思う勉強方法を子どもに押し付けるようなことはせず、子ども自身が自分にあった方法を見つけられるように見守ってあげることが大事です。
2.勉強できる環境づくり
勉強するためには、環境づくりが大事です。
落ち着いて勉強ができる場所を用意するといった物理的な面だけではなく、家庭内が落ち着いて平和であるといった、精神的に安心できる環境も必要です。
夫婦喧嘩が絶えないような家庭では落ち着いて勉強することもできません。
家族がお互いを思いやり、穏やかでいることで子どもが勉強に集中することができます。
3.親が学ぶ姿勢を見せる
親が学ぶ姿勢を見せていれば、子どもも学ぼうという気になります。
読書でもいいし、趣味の研究でも、仕事に必要な資格でも、親が楽しく学んでいる姿を見ると、子どもも学ぶことの楽しさを感じることができます。
人は一生学び続けることで成長します。
学校の勉強や受験勉強だけではない、いろんな学び方があることを子どもに伝えることで、今何を学ぶか、どんな勉強をすればいいかということを子ども自身が考えられるようになります。
勉強の遅れはハンディにならない!
子どもが学校に行っていない、勉強に遅れている、と不安になってしまうこともあると思いますが、必ずしもそれが人生においてハンディになるとは限りません。
実際に筆者が出会った方の話も交えてお伝えしたいと思います。
勉強はいつからでも始められる
学校に行って学ぶことができるならそれに越したことはありませんが、もしも学校に行くことができなかったとしても、勉強するチャンスはあります。
小学校、中学校とずっと不登校で高校、大学と進学し、今は不登校の支援をしている方がいます。
40代後半になって初めて就職した方がいます。
中卒でも多くの人から慕われ、影響力を与えている人がいます。
生きてさえいれば、勉強はいつからでも始められます。
遅れは取り戻さなくていい
不登校の期間が長くなるにつれて、勉強の遅れが心配になります。
再登校できるようになってからも、勉強の遅れを取り戻せるのだろうかという不安があります。
遅れを取り戻そうとすると、なんとかしなくちゃと焦りが出てきますが、遅れを取り戻す、周りに追いつくというよりも、新たな目標を設定するという風に考えた方がモチベーションを保ちやすく、気持ちは楽になります。
丸一年学校にいかず、その間、一度も勉強していないような場合、遅れを取り戻そう、周りに追いつこうとしても追いつくのには時間がかかるので、あきらめたくなりがちです。
遅れを取り戻そうとは考えず、今から新たな学びを始めるのだという気持ちで、今が新たなスタートなのだという気持ちで、一歩ずつ進んでいけば、そのうち何とかなります。
勉強できなかったことも貴重な経験と捉えて、できることからやっていくという意識が大切です。
勉強する目的とは?
知識は人生を豊かにしてくれます。
勉強する目的に、いい学校に入って、いい仕事につくため、ということはあるかもしれませんが、なぜいい仕事につきたいのでしょう。
それは、しあわせになるためです。
人はしあわせになるために生まれてきました。
勉強するのも、人生を豊かにし、しあわせになるためです。
親は、子どもが学ぶことの喜びを感じられるように、勉強を楽しめるようなサポートをすることが大切です。
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