
「円周角は中心角の半分と覚えたのに、図が複雑になるとわからない」「三平方の定理で、たすのかひくのか迷う」。中学3年生の冬の図形学習では、公式を使う前に、弧・角・直角・斜辺を正しく見つけることが大切です。
この記事では、中学3年生・12月の数学の家庭学習に向けて、円周角の定理とその逆、円を使った証明、三平方の定理の基本を整理します。実物画像で選べる無料プリント4選、つまずき別の教え方、4週間・冬休みの学習例、解説付き確認問題8問をまとめました。
中3・12月の数学は何を復習する?
最初に学校のノート・ワーク・テストの間違いを見て、習った範囲を確認します。図形は「公式を忘れた」のか「図のどこに公式を使うかわからない」のかで、戻る場所が変わります。答えを出すだけでなく、使った性質を一言で説明できることを目標にしましょう。
| 内容 | できるようにしたいこと | 確認のポイント |
|---|---|---|
| 円周角の定理 | 同じ弧に対する中心角と円周角を見つける | 角の頂点が中心か、円周上かを区別する |
| 弧と円周角 | 同じ円で等しい弧に対する角を見つける | 線分の弦と、曲線の弧を混同しない |
| 定理の逆・証明 | 4点が同じ円周上にある条件を説明し、合同・相似につなぐ | 与えられた条件と、これから示す結論を分ける |
| 三平方の定理 | 直角三角形の辺の長さを求める | 直角の向かいの斜辺を特定して式を立てる |
| 冬休みの復習 | 相似・平方根・2次方程式・関数の弱点を戻って直す | 未習の難問より、既習の基本の取りこぼしを減らす |
相似の対応順や比に不安がある場合は、先に中3・11月の数学|相似・線分比・面積比・体積比で確認してください。
円周角の定理は「どの弧に対する角か」から考える
中心角と円周角は、頂点の位置が違う
円の中心をOとします。中心角はOを頂点とする角、円周角は円周上の点を頂点とする角です。円周角∠APBが見込む弧は、Pを含まないほうの弧ABです。AとBを結ぶ弧は2つあるため、両端だけでなく、どちらの弧かを確認します。
- 1つの弧に対する円周角は、その弧に対する中心角の半分。
- 1つの弧に対する円周角は、どれも等しい。
- 直径に対する円周角は90°。
同じ弧に対する中心角が110°なら、円周角は110÷2=55°。円周角が35°なら、その弧に対する中心角は35×2=70°です。
図の中にある中心角を何でも半分にしてよいわけではありません。例えば、円周角が見込む大きいほうの弧に対する中心角が240°なら、円周角は120°です。図に小さいほうの中心角120°が書かれていれば、360−120=240と考えてから半分にします。
直径が出たら、円周上の頂点に90°を入れる
ABが直径で、PがA・B以外の円周上にあるなら、∠APB=90°です。ABが直径だと示されていることが条件です。線分が中心を通っていそうに見える、水平に描かれている、といった見た目だけでは判断しません。
保護者の方は「90°になるのはどの角?」「その理由になる直径はどこ?」と確認すると、公式と図が結びついているかがわかります。
同じ円では、等しい弧に対する円周角も等しい
同じ円で弧ABと弧CDの長さが等しければ、それぞれの弧に対する円周角は等しくなります。また、同じ円では円周角の大きさの比と、対応する弧の長さの比が一致します。円周角が20°と50°なら、見込む弧の長さの比は2:5です。
弧の長さの比を、そのまま弦の長さの比にしてはいけません。弧は円周の一部分、弦は円周上の2点を結ぶ線分です。半径が異なる円どうしでも、角の比だけで弧の長さの比を決めることはできません。
円周角の定理の逆は「同じ円周上」を示すときに使う
円周角の定理では、4点が同じ円周上にあることを利用して角の等しさを導きます。逆では、角の等しさを利用して4点が同じ円周上にあると判断します。
異なる4点A、B、P、Qについて、PとQが直線ABの同じ側にあり、∠APB=∠AQBなら、4点A、B、P、Qは同じ円周上にあります。
確認するのは、同じ線分ABを見込む角か/PとQが直線ABの同じ側か/角が等しいかの3点です。「図のどこかの角が2つ等しい」だけでは不十分です。円を描いていない問題で、最初から円周角の定理を使うと、まだ示していない結論を前提にしてしまいます。
円に内接する四角形の向かい合う角の和は180°
円周上にA、B、C、Dがこの順に並ぶ四角形ABCDでは、∠DAB+∠BCD=180°です。2つの円周角が見込む弧を合わせると円周全体になり、それに対応する中心角の合計360°の半分になるからです。∠DAB=108°なら、向かい合う∠BCD=72°です。
足すのは隣り合う角ではなく向かい合う角です。また、円に内接している条件が必要です。角の位置を指で確認してから180°から引きましょう。
円周角を使う証明は「等しい角の理由」を書く
円の証明では、同じ弧に対する円周角や対頂角から角の等しさを見つけ、合同条件・相似条件へつなげます。等しい角が2組そろえば三角形の相似は示せますが、それだけで合同とはいえません。
- 証明する2つの三角形と、対応する頂点を確認する。
- 問題文の仮定を図に書き込む。
- 等しい角を見つけ、「弧BCに対する円周角」など根拠を添える。
- 使う合同条件・相似条件を述べ、対応順をそろえて結論を書く。
円周上にA、B、C、Dがこの順に並び、線分ACとBDの交点をEとします。△ABE∽△DCEを証明しましょう。紙に円と四角形、2本の対角線を描いて確かめてください。
△ABEと△DCEにおいて、
∠AEB=∠DEC ……①(対頂角は等しい)
∠BAE=∠CDE ……②(同じ弧BCに対する円周角は等しい)
①、②より、2組の角がそれぞれ等しいので、
△ABE∽△DCE。
対応はA↔D、B↔C、E↔Eです。EがAC上にあるので∠BAEは∠BACと同じ角、EがBD上にあるので∠CDEは∠CDBと同じ角を表します。
理由を「円周角だから」だけで終わらせず、どの弧に対する円周角かまで書くと取り違えを防げます。対頂角は、どちらも交点Eを頂点とする角になっているか確認してください。
三平方の定理は「直角と斜辺」を決めてから式にする
三平方の定理は、直角三角形の3辺の長さの関係です。直角をはさむ2辺をa、b、斜辺をcとすると、a²+b²=c²となります。斜辺は直角の向かいにある辺で、3辺の中で最も長い辺です。教材によって斜辺をaとする場合もあるため、文字の名前より辺の位置を確認しましょう。
| 求める辺 | 例 | 式と答え |
|---|---|---|
| 斜辺 | 直角をはさむ辺が6cmと8cm | c²=6²+8²=100。長さなのでc=10cm |
| 斜辺以外 | 斜辺が13cm、他の1辺が5cm | x²+5²=13²、x²=144。x=12cm |
| 平方根になる辺 | 直角をはさむ辺が3cmと6cm | c²=9+36=45。c=√45=3√5cm |
「求めたい辺をxにしたら、いつもx²=ほかの2辺の2乗の和」と覚えると誤ります。先に斜辺の2乗=ほかの2辺の2乗の和と書き、必要に応じて移項します。x²=144から方程式の解は±12ですが、辺の長さは正なので12を選びます。
三平方の定理の逆:一番長い辺を確認する
三角形の最も長い辺がcで、a²+b²=c²なら、その三角形はcを斜辺とする直角三角形です。辺の長さが5、12、13なら25+144=169なので直角三角形。4、5、6では16+25≠36なので直角三角形ではありません。
直角の印や、垂直・直径に対する円周角などの根拠がない三角形に、いきなり三平方の定理を使わないことが大切です。辺の長さから直角かを判断するときは「三平方の定理の逆」を使います。
長方形・円・空間図形でも、まず直角三角形を取り出す
縦6cm、横8cmの長方形の対角線は、長方形を2つの直角三角形に分けて考えると10cmです。円では「直径に対する円周角は90°」を根拠に、三平方へつなげられる場合があります。
正方形の対角線は1辺の√2倍、30°・60°・90°の直角三角形の辺の比は、短い辺:長い辺:斜辺=1:√3:2です。これらや空間図形の計量は、学校で習ってから取り組みましょう。12月はまず、直角三角形1つの式を自分で立てられることを優先します。
実物画像で選ぶ中3・12月の無料数学プリント4選
下の画像は、実際の問題PDFから作成しています。画像をクリックするとその問題PDFが開きます。説明文と「プリント・解答一覧へ」ボタンからは教材ページへ進めます。4枚すべてを一度に解く必要はありません。
円周角の定理(1)

中心角と円周角、同じ弧に対する円周角、直径に対する円周角を3問で確認します。
使い方:角の頂点と、対応する弧を指でたどってから計算します。答えの横に「中心角の半分」「同じ弧」「直径」の理由を添えましょう。
プリント・解答一覧へ円周角の定理(2)

円周角の定理の逆(1)

直角三角形の辺の長さ(1)

三平方の定理で辺の長さを求める6問。整数で答える問題と、平方根を使う問題があります。
使い方:最初に直角と斜辺へ印を付けます。例題の±から正の値を選ぶのは長さだからです。三平方が未習なら、このカードは後回しにしてください。
プリント・解答一覧へつまずき別の勉強法と家庭での声かけ
| よくあるつまずき | 見直すところ | 声かけ・練習方法 |
|---|---|---|
| 中心角と円周角が逆になる | 角の頂点の位置 | 「中心にある頂点はどれ?」と聞き、中心角に丸、円周角に別の印を付ける |
| 見つけた角を全部半分にする | 同じ弧に対応しているか | 角の両辺を円周までたどり、見込む弧をなぞる |
| 等しい角が見つからない | 線が重なった図の読み取り | 必要な三角形を1つずつ別の紙に描き、頂点の名前を写す |
| 円がないのに円周角を使う | 定理と逆の方向 | 「同じ円周上は、わかっていること?これから示すこと?」と確認する |
| 証明の対応順が合わない | 等しい角の頂点 | A↔Dのように対応を先に書き、三角形の名前をそろえる |
| 三平方でたし算・ひき算を誤る | 斜辺の位置 | 直角の向かいの辺に印を付け、斜辺の2乗を片側に置く |
| 平方根の答えが合わない | 2乗と平方根の計算 | √72=√(36×2)=6√2のように、平方数を取り出す練習へ戻る |
答えが違うときは、正しい式をすぐ教える前に「どこまでわかった?」と聞いてみてください。図への印が正しければ計算の練習、印が付けられなければ性質の確認、というように練習を絞れます。正解した問題も理由を一言説明してもらうと、偶然の正解を見分けやすくなります。
中3・12月の4週間と冬休みの家庭学習例
1回15〜20分程度を目安に、短い確認と解き直しを組み合わせます。受験勉強や学校の課題がある場合は、それらの間違いをこの記事の単元別復習に戻して使ってください。
| 時期 | 主な内容 | 進め方 |
|---|---|---|
| 第1週 | 円周角の基本 | カード1で中心角・同じ弧・直径を区別。翌日は図の向きを変えて理由を説明する |
| 第2週 | 弧と円周角・定理の逆 | カード2・3を分けて実施。同じ線分を見込む角を確認し、図の見た目に頼らず判断する |
| 第3週 | 円の証明・三平方の基本 | 本文の証明例を白紙に再現。三平方が既習ならカード4を2〜3問ずつ解く |
| 第4週 | 冬休みの復習・確認 | 確認問題8問から既習のものを選ぶ。間違いを単元別に分け、数日後に解き直す |
三平方が未習なら、第3週のカード4と確認問題6〜8は後回しにして、相似の証明や比の問題に置き換えます。円周角が未習なら、学校で終えた相似・関数・計算を優先してください。すでに三平方の応用まで習っている場合は、基本を確認してから学校の平面図形・空間図形の課題へ進みましょう。
冬休みは「図形だけ」に偏らない
例えば、5分で平方根・因数分解の計算、10分で円や三平方の問題、5分で間違いの説明、という組み合わせにします。関数や2次方程式に弱点があれば別の日に取り入れます。新しいプリントを増やすより、一度間違えた問題を、根拠を書いて解けるかを確かめる時間を取りましょう。
中3・12月の数学|確認問題8問
問題1〜5は円、問題6〜8は三平方の定理です。学校で習った範囲から取り組んでください。問題1〜3では、条件に合う簡単な図を自分で描くと整理しやすくなります。
- ある弧に対する中心角は124°です。同じ弧に対する円周角を求めなさい。
- ABは円の直径、PはA・B以外の円周上の点です。∠PAB=28°のとき、∠APBと∠PBAを求めなさい。
- 円周上にA、B、C、Dがこの順に並んでいます。∠DAB=107°のとき、∠BCDを求めなさい。
- 異なる4点A、B、P、Qがあり、PとQは直線ABの同じ側にあります。∠APB=∠AQB=48°です。4点が同じ円周上にあるといえますか。使う定理も答えなさい。
- 円周上にA、B、C、Dがこの順に並び、ACとBDの交点をEとします。△ABE∽△DCEを、等しい角2組と理由を書いて証明しなさい。
- 直角をはさむ2辺の長さが9cm、12cmの直角三角形です。斜辺の長さを求めなさい。
- 斜辺が10cm、ほかの1辺が6cmの直角三角形です。残りの辺の長さを求めなさい。
- ABを直径とする円があり、AB=10cmです。PはA・B以外の円周上の点で、AP=4cmです。BPの長さを求めなさい。
解答・解説
- 62°。同じ弧に対する円周角は中心角の半分なので、124÷2=62です。
- ∠APB=90°、∠PBA=62°。ABが直径なので∠APB=90°。三角形の内角の和より、180−90−28=62です。
- 73°。円に内接する四角形の向かい合う角の和は180°なので、180−107=73です。
- いえる。円周角の定理の逆。PとQが直線ABの同じ側にあり、同じ線分ABを見込む角∠APBと∠AQBが等しいためです。
- △ABEと△DCEにおいて、∠AEB=∠DEC(対頂角)、∠BAE=∠CDE(同じ弧BCに対する円周角)。2組の角がそれぞれ等しいので、△ABE∽△DCEです。ほかの正しい角の組を使った証明でも構いません。
- 15cm。斜辺をx cmとすると、x²=9²+12²=225。x>0なので、x=15です。
- 8cm。残りの辺をx cmとすると、6²+x²=10²。x²=100−36=64。x>0なので、x=8です。
- 2√21cm。直径に対する円周角なので∠APB=90°。斜辺はABです。BPをx cmとすると、4²+x²=10²。x²=84、x>0よりx=√84=2√21です。
1〜3で間違えたら、角が見込む弧や直径の位置を確認します。4〜5は条件と根拠、6〜8は直角と斜辺、平方根の計算を見直しましょう。8が解けなかった場合も、「円から直角を見つけるところ」と「三平方の計算」を分けて練習すると取り組みやすくなります。
あわせて使いたい中3数学の無料教材
よくある質問
12月に三平方の定理をまだ習っていなくても大丈夫?
教科書や学校によって進度は異なります。この記事は全国共通の到達時期を示すものではありません。未習なら円・相似など学校で習った範囲を復習し、三平方のカードや問題は授業後に使ってください。
円周角の問題は、図を測って答えてよい?
図は正確な角度や長さで描かれているとは限りません。問題文の数値・等しい弧・直径などの条件を使い、定理から求めます。作図や実測を指示された問題は、その指示に従ってください。
入試の図形問題にもつながりますか?
弧と角を対応させる、直角三角形を取り出す、証明に根拠を書くといった基本は、複数の単元を組み合わせる問題の土台になります。基本を確かめた後は、志望校の出題形式や学校の指導に合わせて演習を進めてください。
学習時期の参考資料:東京書籍・令和7年度用「新編 新しい数学」3年 年間指導計画(令和7年1月29日版)。実際の進度・学習範囲は学校の案内をご確認ください。教材は、すたぺんドリルの各掲載ページと実物の問題・解答PDFを確認して選んでいます。










