習字の教え方のコツとは?親が子どもに教えるときの注意点・練習法・書き方も解説!

『子どもへ習字を教えるときのコツは?』
『親が子供に習字を教えるときの注意点は?』
『習字に興味を持ってもらうためには?』
と気になることもありますよね。

今回は、親が子どもに習字(書道)を教えるときの教え方のコツや注意点を解説します。
親が子どもに習字(書道)を教えるときのコツ

小学3年生頃から学校の授業でも習字が始まります。
習字は字が上手くなるのはもちろん、正しい姿勢や集中力が身に付くなど、メリットが多いのも魅力です。
学校で習字(書写)の授業に備えて、始まる前から書道教室に通い始めるご家庭も多いのではないでしょうか。
小学生の定番の習い事の中でも比較的月謝がお財布優しいところも、通いやすい理由の一つです。

そんな習字をご家庭で練習したり、冬休みの宿題で書初めを自宅で書くこともあると思います。

そこで今回は、5歳の頃から習字を習い、師範の資格を持っている筆者が、親が子どもに習字を教えるときの”教え方のコツ”と”教えるときの注意点”を紹介していきます。

幼児から小学生まで習字を上達させるコツについても解説します!

【子供の習い事】書道はいつから?費用は?習うメリット・デメリット・体験談も解説!

習字と書道の違いは?

習字と書道の違いは?
「習字」と「書道」。
両方ともよく聞く言葉だと思いますが、この2つの違いについてご存知ですか?

まずは「習字」と「書道」の違いを知ることから始めましょう。
それぞれの魅力をご紹介していきます!

習字とは?

「習字」とは、字の通り、文字を習う事です。
正しい書き順を学び、美しい文字を書けるようになるために、小学校で習うのは主に「習字」です。
小学校では「書写」として行っている場合もあります。

 

書道とは?

「書道」とは、主に筆を使った「書」で文字の美しさを表す芸術です。
高校や大学には書道を専門とした専攻を設けている学校も多くあります。
厳密には「習字」と「書道」は違う意味の言葉ですが、「習字」の意味で「書道」の言葉が使われている場合も多いです。

 

習字に興味を持ってもらうためには?

書道に興味を持ってもらうコツは?
お子さんが字を書くことに慣れていなかったり、綺麗な字が書けなくて字を書く事に苦手意識を持っていたりする場合、なかなか習字に興味を持ってもらえないかもしれません。

特に幼児の場合は、集中力もなく習字の教え方は難しいです。
そこで、「習字」の面白さや、字が綺麗になることのメリットをご紹介します。

 

手書きの文字に興味をもってもらおう

最近ではパソコンやスマートフォンが普及しているので、文字を手書きをする機会が減っているのではないでしょうか。
さらにオンライン授業が主流になってくると、ますます手書きの文字に触れる機会は減ります。
字を書くことに苦手意識を持っている子も多いです。
手紙を書く事で習字に興味を持たせる
そこで、手書きで書かれた年賀状やお手紙に触れてもらい、手書きならではの文字の温かさを伝えることから始めてみてください。
一緒にお買い物に行ったときに、手書きのポップをみつけるゲームをしてみるのも面白いかもしれません。
親子でお手紙交換をするのも、手書きの温かさに触れる素敵なきっかけになるものです。

子どもも字が綺麗に書けるようになると、自信をもって字を書くことが出来るようになります。

筆や墨に興味を持ってもらおう

手書きの文字に触れる機会を増やした後は、筆や墨を使って文字を書く事に興味を持ってもらいましょう。

正座をして筆と墨を使って文字を書くのは、少し堅苦しいイメージもありますよね。
そこで、筆を使ったアート作品を紹介します。

年末になると日本漢字能力検定協会が京都の清水寺で「今年の漢字」を発表しますよね。
テレビでも放送されることがあるので、目にしたことがある人も多いはずです。
「書道」の分野になりますが、巨大な筆を使ったパフォーマンスは、かなり迫力があります。

実際にパフォーマンスを見に行くのは難しいかもしれませんが、YouTubeなどにもたくさん巨大な筆を使ったパフォーマンスが公開されているので、親子で一緒に見てみてはいかがでしょうか!

\女優の芦田愛菜さんが巨大書道パフォーマンスに初挑戦した様子/

 

親が自宅で習字を教えるときのポイント

親が子どもに習字を教えるときのコツは?
手書きの文字や筆、墨に触れてもらったら、次は実際に自宅で習字を練習する際に親が子どもに教えるときのポイントをいくつか紹介します。

ぜひ、習字を始める準備に使ってください!

道具を準備する

まずは、必要な習字道具を用意します。

もし学校ですでに習字の授業が始まっているのであれば使い慣れた習字セットを使用しましょう。
もし習字セットをまだ購入していない場合は最低でも次のものを用意してください。

1.筆


イタチや馬、狸などの毛を使用している剛毫(ごうごう)、羊やリス、猫の毛を使用している柔毫(じゅうごう)、そしてその2つを合わせた兼毫(けんごう)があります。
初心者の子どもにはちょうど良い硬さの兼毫筆の中筆がおすすめです。

2.下敷き


習字用の下敷きには羅紗(ラシャ)製、フェルト製があります。
羅紗製はシワになりにくく、手洗いが可能です。
フェルト製は手洗いはできませんが、柔らかく弾力があるのが特徴です。
羅紗製・フェルト製のどちらを選ぶかは好みに合わせて選んで大丈夫です。
初心者の小学生には文字のバランスがとりやすい罫線が入った下敷きもおすすめです。

3.墨汁


用紙への浸透性や伸び、墨色の違いなど色々選ぶ基準があります。
自宅での練習用の場合、気軽に使える書道練習用の墨汁がおすすめです。
最近では洗って落とせる書道液もあるので、自宅での練習用にはこちらもおすすめです。

4.半紙


半紙には「手漉き」と「機械漉き」があります。
小学生が主に練習する楷書は、にじみが少ない方が書きやすいので、機械漉きの半紙を使って練習することをおすすめします。
機械漉きの半紙の方が手漉きの半紙に比べて安価なので、お財布的にもおすすめです。
清書をする場合は手漉きの半紙を使うようにしましょう。

5.文鎮(ぶんちん) / 硯(すずり)

学校の習字セットには必ず入っているこのセット。
習字教室などでは教室に備え付けの備品として使わせてもらう事も多いと思います。

自宅で用意するのが難しい場合、代わりのものを使う事も出来ます。
文鎮は半紙が動かないように押さえることを目的としているので、汚れても大丈夫で半紙を押さえられるものであれば何でも大丈夫です。

墨汁を使用する場合は、食べ終わったプリンやゼリーのカップを綺麗にあらってそこに墨汁を適量入れて使用することが出来ます。
筆に含んだ墨汁をしごき落とす際に、カップを倒さないように気を付けてください。

文鎮や硯は100均一でも購入できますよ!

6.その他

ご自宅で墨を使って習字を行う場合、汚れも気になると思います。
上記にプラスして新聞紙があると便利です。
下敷きの下に大きめに広げておけば机が汚れるのを防ぐことが出来ます。
さらに墨が乾く前の半紙を置いておくスペースとしても活用できます。

【2024年版】子供の書道セットおすすめ15選!男の子・女の子・人気おしゃれ・選び方のコツも解説!

服装に気を付ける

道具の準備が出来たら次に習字を行う際の服装を考えましょう。
墨を使う事に慣れていない場合、半紙や下敷き、手以外にも知らない間に洋服にまで墨が飛んでいることが多くあります。

私が習字を始めたばかりの頃、先生に「手が墨で汚れなくなったら上手になった証だよ」と言われたことがあるのですが、師範を取った今でもふとした瞬間に(特に片付けの際に)手を汚してしまうことがあります。

手や肌に墨がついてしまったのであれば、何度か石鹸で洗えば落とすことが出来ます。
しかし洋服についてしまった場合、墨の汚れは綺麗に落とすことが難しいです。

そこで、習字をするときには上下ともに黒系の洋服を着用することをおすすめします。
書いている時はもちろん、道具を片付けるときにも墨を飛ばしてしまうことがあるので注意が必要です。

袖が広がった洋服も避けた方が良いでしょう。
スペースによっては書き終わった半紙を床に置いておくこともあると思います。
そういった時は念のため靴下も黒系を履いておくと万が一汚れてしまった場合も目立たないのでおすすめです。

どうしても洋服を汚したくない方は、習字用のエプロンを使うこともおすすめできます!

 

習字のお手本を用意する

学校の課題や宿題を自宅で行う場合は、学校で配布されたプリントや教科書を用意しましょう。
そうでなければ、お手本を配布しているwebサイトや、書道家の先生が書いた書をお手本にするのも良いと思います。

webサイトでお手本を探す場合は必ず印刷してから使用するようにしてください。

お手本を配布しているwebサイトでおすすめなのが「e-OTEHON」です。

こちらのサイトは月例のお手本が毎月更新されたり、年会費6,000円(税別)で会員登録をすると段級認定サービスを受けることが出来ます。
楷書だけでなく、創作物のお手本も掲載されているので、書を使った作品に触れること可能です。

他にもお手本を配布しているwebサイトは色々ありますが、中にはパソコンを使用した行書体のフォントを使用して作られたものをお手本と称して配布しているサイトもあるので注意してください。

もちろん本屋さんにもたくさんのお手本の本が置いてあります。
お子さんと一緒に本屋さんに行き、習字のお手本の本を選ぶのも楽しいかもしれません。
自分で選んだお手本で練習をすることで、楽しく書くことが出来ると思います!

 

空間を用意する

道具、服装、お手本が用意出来たらあとは実際に半紙に向かって練習を開始するだけです。
そこで気を付けてほしいことは、集中できる空間を作ってあげる事です。

兄弟が遊んでいたり、テレビが点いているリビングなどで行う場合、ちょっとした音が気になって集中力が切れてしまいます。
出来るだけ静かな、生活音があまり聞こえない空間を用意しましょう。

お腹が空いている場合も注意が必要です。
練習の途中でおやつタイムを取ってしまうと集中力が切れてしまう場合もあります。
筆者の場合ですが、条幅(長い書初め)を書いていた頃は集中力と体力も使うので必ずお腹が空いてしまいました。
途中で休憩を挟むことも大事ですが、事前に空腹を満たしてから練習を始めることをおすすめします。

子どもが書を書いている時はなるべく静かに見守ることも大切です。
筆を運んでいる途中に声をかけないようにしてあげてください。
もちろん携帯電話も着信音などが鳴らないように配慮してあげてくださいね。

 

子どもの習字を上達させるコツは?

習字の練習をする準備が整ったら、ちょっとした意識で習字が上達するコツを紹介していきます。

下記の内容に注意して習字の練習をしてみてください!

習字の正しい姿勢や筆の持ち方

習字をする上で一番といっても良いくらい大切なのは書く時の姿勢です。
正しい姿勢を意識し、正しい筆の持ち方で書くだけで、綺麗な字に近づくことが出来ます。
椅子に座る場合も床に正座する場合も基本的には同じです。
書道・習字をするときの正しい姿勢
\習字の正しい姿勢/
まずはお腹と机の間に拳1つ分空けて座り、肩の力を抜いて、背筋を伸ばします。
そして筆を持たない方の手で半紙の左下を押さえましょう。
この時体重をかけずに、半紙の上に軽く手を乗せるようにしてください。
この時、半紙に対してまっすぐに座るようにしましょう。

そして自分の見やすい位置にお手本を置きます。
お手本が遠すぎたり近すぎたりしないように気を付けてください。
半分に折って真横に置いても大丈夫です。
習字の筆の持ち方
筆は真ん中より少し下を持つようにしてください。
鉛筆を持つように筆を持ったら、人差し指の隣に中指を持っていきます。
この持ち方を双鉤法(そうこうほう)と言います。
肘を付けずに、筆をまっすぐに立てて持つとことを意識してください。

上体は少し前かがみにし、腕を引くのではなく身体を手前に引くという意識で書いてみてください。

 

書き順を正しく書く

硬筆でも毛筆でも、綺麗な字を書くのに重要なポイントは書き順を正しく書くことです。

書き順を守らなくても字を書くことはできます。
ではなぜ正しいか基準で書いた方が良いのでしょうか。

それは決められた順番で文字を書いていくと自然と綺麗な字が書けるからです。
料理を作るときもレシピ通りに順序よく作ると美味しい料理が完成しますよね。
家を建てるときも、決められた順序通りに作業を行うことで安全な家を建てることが出来ます。

文字の書き順も正しく守ることで、自然と綺麗な字が書けるようになります。

習字を練習するときは、まずはお手本を指でなぞってみることをおすすめします。
墨を付けていない筆を使ってお手本をなぞってみるのも良いでしょう。

 

とめ・はね・はらいを丁寧にする

習字はとめ・はね・はらいが綺麗に書ければ一気に上達します!

まずは筆の軸を意識してみてください。
前述した筆の持ち方のまま、腕を動かしながら書くことで筆の軸が変わらずに書くことができます。
手首を動かしてしまうと、書き終わりに筆の軸が左右に向いてしまいます。

とくにはねやはらいの時は筆の軸を動かさないことを意識してみてください。
最初は難しいと思いますので、字を書く前に筆の動かし方を練習してみても良いかもしれません。

子どもが持っている筆を親が支えてあげて、手首を動かさない練習をしてみるのも良いでしょう。

では、現在の日本の元号「令和」という文字を例にとめ・はね・はらいのコツを見ていきましょう。
習字で意識すべきとめはねはらい

※題字はルーブル美術館に作品を展示されている女流書家の吉永益美さんです。

まずは左はらいです。
手首を動かしてしまいがちな左払い。
ゆっくりと筆(腕)を動かし、最後まで気を抜かずに一定の速さではらいましょう
習字:左払いの教え方
右払いはしっかり筆を立て、一呼吸おいてからはらいます。
習字:右払いの教え方

 

次にとめです。
筆先を真っすぐ下に引き、とめに移行する前に一度筆を軽く上に持ち上げます。
真っすぐ下に引く際に、筆がお辞儀をしないように気を付けてください。
筆を軽く持ち上げたら、左側にとめます。
習字:とめの教え方
最後にはねです。
筆先を真っすぐ下に引き、はねに移行する前に、筆を右に倒します。
そして左に押し上げるようにゆっくり丁寧にはねます。
習字:はねの教え方

YouTubeに書道教室の先生が基本的な書き方のコツの動画を投稿しているので、参考にしてみてください。

\「はらい」のコツを動画で学ぶ/

 

\「とめ・はね」のコツを動画で学ぶ/

 

好きな文字を書いてみる

筆の持ち方や書き順、とめやはね、はらいのコツについて紹介してきましたが、習字を上達するための一番のコツは、筆や半紙に慣れる事です。

幼児や小学生低学年に習字を教えるときの教え方は、技術的な部分よりも、自分の名前や家族の名前、好きな色や好きな食べ物など、自分の好きな字や身近なものの字を書くことからはじめて、楽しく字を書くこと意識しましょう。

筆や半紙に慣れるためにも、字をたくさん書くことは大事です。
もし上手に書けたら、お部屋に飾ってあげるとモチベーションがあがるかもしれません。

半紙だけでなく色紙を用意して、筆で目標を書いてみるのも良いかもしれませんね!

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まとめ:親子で楽しく習字をしてみよう!

習字は好きな文字から書いていく
今回は、親が子どもに習字を教えるときの、教え方のコツや注意点を紹介しました。

習字の教え方のコツは、
・手書きの文字に触れる
・筆や墨になれる
・正しい姿勢や正しい筆の持ち方を意識する
・とめ・はね・はらいを練習する

習字を教えるときの注意点として、
・集中できる空間を用意する
・汚れても良い服装を着る
・書き順を守る

などを紹介しました。

堅苦しいイメージがある習字ですが、筆や半紙に慣れることで、書道に興味を持つきっかけにもなります。
パソコンやスマートフォンの普及により、手書きの文字に触れる機会が減ってきている中、字を綺麗に書くことが出来れば好印象を持ってもらいやすいです。
楽しく習字を練習して、親子間でも手書きの文字でコミュニケーションを取ってみてはいかがですか。

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