内閣府が6月14日に令和4年版「少子化対策白書」(少子化の状況及び少子化に対処するために講じた施策の概況に関する報告書)を公表しました。合計特殊出生率や少子化対策の現状等が載っています。
日本の少子高齢化問題は、すでに放置できない危機的状況にあります。社会保障は働き世代がおよそ3人で1人の高齢者を支えている状況です。そして働き手はこれから減少の一途をたどっています。このままでは働き世代が1人で高齢者を1人以上支えなければならない未来が待っているとも言われています。
子どもたちの将来に関わる少子化問題は、育児世代にとって決して他人事ではないのです。
コロナ禍で出生率は過去最低に
まず気になるのは、新型コロナウイルス感染拡大の影響です。
厚生労働省「人口動態統計」によると、2020年(令和2年)の出生数は840,825人で過去最低。合計特殊出生率は1.33で、前年より0.03低下しました。
新型コロナウイルス流行に伴い、医療受診を控えるために妊娠を選択しない夫婦が増えました。病院閉鎖などによって不妊治療が進まなかった夫婦もいます。さらにはお見合いや合コンといった出会いに繋がる機会の損失、結婚式の延期等。コロナは人との繋がりを奪うだけでなく、出生率にダイレクトに影響をもたらしたといえます。
なぜ子どもは生まれないのか 浮き出るのは日本社会が抱える問題
「少子化対策白書」第2部少子化対策の具体的実施状況から日本の抱える問題点が浮き彫りとなっています。
まずは結婚・子育てに対して展望が描けない状況が挙げられます。特に雇用問題については深刻で、非正規雇用者は雇用者全体の約4割を占めていると言われている。結婚や出産を希望したとしても、賃金や非雇用等が安定していなければ、展望さえも難しいのです。
仮に雇用問題をクリアしたとしても社会そのものが出産や育児に対する認識が低く、実際には女性が妊娠や出産、育児でキャリアを諦めざるをえないのです。さらには働きたいのに保育園に預けられない待機児童問題、男性の育児休業取得率の低さ、男性が育児に関わりにくい原因となる長時間労働、それに比例して仕事・家事・育児の女性の負担も未だ男性に比べて重い等、出産や育児に対して前向きになれない理由が山積しているのです。
男性の育児休業取得の義務化 少子化対策になるのか
2022年4月から男性の育休取得が義務化されました。義務化に伴い、これまで男性が育休を取得し辛かった点について、相談体制の構築や会社での周知徹底についても明確に記載されています。
こうした法整備は少子化対策に効果が出るのか、またそれは結果的に長時間労働が当たり前になっている日本社会全体の「働き方改革」に繋がり、家族の時間だけでなく趣味等のプライベートを大切に出来るきっかけになるのか、ということも併せて注目していきたいですね。
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