「子どもに絵本を読んであげたいけれど、どんな絵本を選んだら良いかわからない」
「絵本選びのコツが知りたい」
「子どもが喜ぶ絵本ってどんな絵本?」
そんな悩みはないでしょうか。
日本には約一万冊の絵本が売られているといわれています。膨大な数の絵本の中から、子どもにピッタリの作品を探すのは難しいことです。
子どもにはたくさんの良い絵本を読んで心豊かに育ってもらいたいですよね。
本記事では保育現場で毎日たくさんの絵本を読み聞かせしている現役保育士が、絵本の選び方のポイントをお伝えします。
この記事は保育士・介護福祉士の資格を保有するhiiが担当。約10年に渡って認可保育所、児童発達支援施設等に勤務し乳幼児の保育・療育に携わる。現在は特別支援学校に勤務する傍ら、子育て・保育などに関する記事執筆を行っている。
この記事の目次
子どもの発達に合った絵本を選ぼう
絵本を選ぶときに大切なことは、子どもの発達に合った絵本を選ぶことです。
絵本を読む時期の子どもは、日々成長しています。
たった1年の間にも、心も体も大きく変化する子どもたち。成長にしたがって、理解できることがどんどん増えて興味の幅も広がります。
発達に合った絵本にふれることで子ども自身が絵本に興味を持つことができるので、絵本をより楽しむことができるでしょう。
それではこれから子どもの発達と、発達に合った絵本を選ぶポイントについて解説します。
0〜1歳の子どもの発達と絵本選びのポイント
生まれてから1歳までの時期を「乳児期」と呼びます。この時期のコミュニケーションは、その多くが身近にいる親しい大人との関わりになります。
お世話をしてもらう中でもたらされる両親や保育者などの身近な大人への安心感や信頼感は、自分自身や周囲の世界への信頼感の土台となるとても大切なものです。
大人が「楽しいね」「痛かったね」などと共感することで、子どもは自分の気持ちを少しずつ理解するようになります。
この時期には読みながら大人とのやりとりを楽しめる絵本や、スキンシップのきっかけになるような絵本は特におすすめです。
また、破れず傷みにくい厚手の絵本を選ぶのも良いでしょう。この時期の子どもはまだ「絵本は読むものである」と理解できないため、悪気なく破いてしまうこともあります。
もし破いてしまったときには、「絵本は破くものじゃないよ」と丁寧に伝えてあげることが大切です。そうすることで少しずつ破いていいものと破いてはいけないものの区別がつくようになっていきます。
ポイント①はっきりとした色・形
生まれたばかりの赤ちゃんは、視力が0.01程度と言われています。明暗や色・形などの違いをまだ十分に見分けることができません。
細かい絵柄はうまく識別することができないため、形や輪郭のはっきりした絵を選びましょう。
淡い色合いではなく、白黒だけの絵柄や、赤・青・黄などの原色を使った絵柄を選ぶと注目しやすいです。
視力は成長にしたがって少しずつ見えるようになっていきます。
おすすめの絵本:『しましまぐるぐる』
ポイント②オノマトペが使われている
オノマトペとは、音や声、動作などを音声化して表したものです。
「トントン」「カンカン」「キラキラ」などのオノマトペは子どもの興味を惹くので、子どもが好むオノマトペが使われている絵本を探してみましょう。
絵本に出てきた言葉を普段の会話の中でも意識して使ってみると、子どもがより親しみを持つことができます。
おすすめの絵本:『じゃあじゃあびりびり』
ポイント③繰り返しの言葉やフレーズ
言葉・フレーズが繰り返される構成の絵本は意外とたくさんあります。
同じ言葉やフレーズの繰り返しは、子どもに安心感を与えます。繰り返しになっていることで、次のページをめくるときに子どもが予測や期待感を持つこともできます。
子どもが絵本を「もう1回読んで」と言う時には、その絵本が好きなことに加えてこの「繰り返し」を楽しんでいることもあるので、時間が許すときにはぜひ読んであげてください。
おすすめの絵本:『がたん ごとん がたん ごとん』
0〜1歳の子どもにおすすめの絵本
・『しましまぐるぐる』
原色のカラフルな絵柄とリズミカルな言葉で子どもの興味を引きます。
・『じゃあじゃあびりびり』
子どもにとって身近なオノマトペがたくさん登場し、どのページから開いても読むことができます。
・『がたん ごとん がたん ごとん』
シンプルな絵柄で、繰り返しのフレーズと展開が読みやすい作品です。
2〜3歳の子どもの発達と絵本選びのポイント
身体能力が高くなり、走ったり飛び跳ねたりすることができるようになるので、体全体を使った遊びもできるようになる時期です。イメージを使った遊びもできるようになり、おままごとなど生活とつながりのあるテーマで遊ぶことも多くなります。
自我が芽生え自己主張も強くなるので、第一次反抗期、いわゆる「イヤイヤ期」とも呼ばれています。子ども同士のいざこざでは保育者が間に入り、お互いの気持ちを代弁することで、自分や友達の気持ちに気付く力が育っていきます。
この時期は日常に寄り添った分かりやすい内容で、子どもが共感できるような絵本がおすすめです。
ポイント①分かりやすくシンプルな物語
この時期になると、絵柄や言葉の響きだけではなく、かんたんな物語を楽しめるようになります。
登場人物に興味を持ったり、物語の内容を集中して聞くことができるようになってくることも多いです。
まだ複雑なストーリーや長文の理解は難しいので、できるだけシンプルな内容の絵本を選びましょう。
おすすめの絵本:『どうぞのいす』
ポイント②色や数に親しむ
好きな色を選んだり、色の名前に興味を持ったりするようになる時期です。カラフルな絵本は物語の内容だけではなく、「これは赤だね」「何色が好き?」などの会話を楽しみながら読むこともできます。
絵本の中に数字が登場すると、自然と数に触れることもできます。日常の中で数詞を聞きなれている子どもであれば、3歳ごろまでには10まで唱えることができるようになります。しかし、この時期は数を唱えられるからといって実際のものの数を数えられるとは限りません。
まだ色や数字を教え込もうとする必要はないので、いっしょに楽しみながら読んであげましょう。
おすすめの絵本:『はらぺこあおむし』
ポイント③日常生活に寄り添った身近な題材
この時期は身の回りのことを少しずつ自分でできるようになり、日常のさまざまな出来事に興味を持ちはじめます。
「自分で」「イヤ」「いらない」などの自己主張も盛んになります。自分の気持ちをどこまで主張すれば良いのかなど、色々なことを学ぶ大切な時期ですが、毎日接している大人にとっては対応に悩む時期でもあります。
そんなときは子ども自身が共感できるような、同じくらいの年齢の子どもが主人公の絵本がおすすめです。
「○○ちゃんと同じだね」など会話をしながらいっしょに読むことで、大人も優しい気持ちになることができます。
おすすめの絵本:『おでかけのまえに』
2〜3歳の子どもにおすすめの絵本
・『どうぞのいす』
「どうぞ」という言葉から展開される物語は分かりやすく、おもちゃの貸し借りなど友達のとやり取りが増えてくるこの時期の子どもにぴったりです。
・『はらぺこあおむし』
カラフルな絵柄は見ているだけで楽しく、自然と色や数に興味をもつきっかけにもなる作品です。
・『おでかけのまえに』
主人公の「自分でやりたい」「お手伝いしたい」という気持ちは子どもにとって共感できるお話になっています。
4〜5歳の子どもの発達と絵本選びのポイント
この時期になると、周囲のお友達といっしょに遊ぶことが多くなります。複数の友達とルールのある遊びを楽しむなど、遊びの幅もどんどん広がる年齢です。
4歳を過ぎると友達の視点に立てるようになったり、お互いに気持ちよく遊べるためにはどうしたら良いかを考えて社会的なルールに沿った行動ができるようになっていきます。
この時期には友達を思いやる心や、困難に立ち向かう気持ちを描いた絵本をぜひ読んであげましょう。
ポイント①思いやりの気持ちを育む
友達の気持ちを思いやったり、物事の良し悪しを少しずつ自分で考えて判断できるようになっていく時期です。
自分中心の世界ではなく、少しずつ自分の周りの色々な人の気持ちを想像できるようになるのです。
自分とは違う他人の気持ちを考えるきっかけになるような絵本を読んであげると良いでしょう。
おすすめの絵本:『さっちゃんのまほうのて』
ポイント②困難に立ち向かう冒険物語
大人の関わりがない中でも友達同士で遊びのイメージを共有できるようになるなど、少しずつ自立へ向かっていく時期です。
ちょっとドキドキするような新しい世界を体験できる絵本は、この年齢の子どもにとって良い刺激になるでしょう。
少し複雑なストーリーも理解できるようになってくるので、仲間といっしょに困難に立ち向かうような冒険物語もおすすめです。
おすすめの絵本:『こんとあき』
ポイント③言葉のおもしろさを感じられる
絵本の文章を覚えたり、言葉遊びを楽しんだりすることができるようになります。
ユーモアを感じられる言葉選びや内容も理解できるようになるので、積極的にさまざまな世界観や物語に触れてみましょう。
絵本の言葉を真似っこしたり、子ども同士でも言い合ったりして遊びやゲームに発展させることもできます。
おすすめの絵本:『これはのみのぴこ』
4〜5歳の子どもにおすすめの絵本
・『さっちゃんのまほうのて』
生まれつき片手の指がない「さっちゃん」のお話。子どもが自分と違う誰かと出会い、ともに生きていくことを考えるきっかけになる作品です。
・『こんとあき』
「あき」とぬいぐるみの「こん」が二人だけでおばあちゃんの家に向かうお話。二人といっしょにドキドキハラハラしながら冒険している気持ちになることができます。
・『これはのみのぴこ』
「これはのみのぴこです」という最初の一文から、ページごとに文章がだんだん長くなっていく絵本。言葉遊びが面白く、不思議と声に出して読みたくなります。
絵本の年齢表示について
絵本の表紙には「読んであげるなら4歳から」「自分で読むなら小学生向き」など、対象年齢が表示されています。
子どもの年齢に合った絵本が分からない場合、最初はこの年齢表示を目安に絵本を選んでみるのも良いでしょう。
年齢表示を参考にいくつかの絵本を読んでみると、子どもの年齢に合った1ページ分の文字数や絵柄の雰囲気などが掴めるからです。
しかし、必ずしもこの年齢表示に沿って絵本を選ばなければならないということではありません。対象年齢に合っていない絵本でも、お子さんが興味を持って聞いているときはぜひ積極的に読んであげてくださいね。
小さな頃読んでいて大好きだった絵本を成長してからも読みたがることもあれば、まだ物語は難しくて理解しきれなくても絵柄などが好きで読みたいと感じる絵本もあります。
絵本の楽しみ方はさまざまです。発達に合った絵本を選ぶことは基本ですが、子どもが楽しめなければ本末転倒になってしまいます。固定観念にしばられず、色々な絵本にふれていけると良いですね。
まとめ:絵本は子どもとのコミニュケーション手段になる
本記事では発達に合った絵本の選び方について、現役保育士が解説しました。
物語の世界に入り込んで楽しむことはもちろん、ことばの響きや繰り返しの面白さ、文字や数など、子どもは絵本からさまざまなことを学びます。登場人物に共感したり、絵本を通して自分や友達の気持ちに気付いたり、想像してみるきっかけにもなるでしょう。
お気に入りの絵本は、ぜひ何度も繰り返し読んであげたいですね。
読んでくれる大人といっしょに楽しむことで、絵本は大人と子どもの大切なコミュニケーション手段になります。
絵本を読みながら子どもと言葉遊びをしたり、お話の内容について話してみてください。
大人が自分に向き合って絵本を読んでくれる時間は、子どもにとって特別な時間になります。
ぜひ本記事を参考に、たくさんの物語の世界に触れてみてくださいね。
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