子どもの自己肯定感を高める親の関わり方とは?今日からできることを保育士が解説!

「子どもには自分を好きになってほしい。まっすぐに育ってほしい」
「色々なことに自分からチャレンジできる子になってほしい」
「自信をもてるようになってほしい」

保育士として子育て支援に携わっていると、保護者からそんな声を聞くことが度々あります。

子育てをする中で、このような願いを持つ方は多いのではないでしょうか。

子どもが成長していく中で、重要なことの一つに「自己肯定感」を育むことが挙げられます。

普段の生活の中で意識することは少ないかもしれませんが、「自己肯定感」を高めることで子どもは自分自身のことを好きになり、新しいものごとにも前向きに取り組むことができるようになるのです。

この記事では自己肯定感とはどんなものなのか、そして自己肯定感を高めるために日常の中でどのような関わり方をすれば良いのかについて解説します。

自己肯定感を高めることで子どもにとってどんなメリットがあるのかが分かりますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

この記事は保育士・介護福祉士の資格を保有するhiiが担当。約10年に渡って認可保育所、児童発達支援施設等に勤務し乳幼児の保育・療育に携わる。現在は特別支援学校に勤務する傍ら、ライターとして子育て・保育などに関する記事執筆を行っている。

自己肯定感とは?

そもそも「自己肯定感」とはどんなものなのでしょうか。『実用日本語表現辞典』では、以下のように言葉の意味が説明されています。

自分のあり方を積極的に評価できる感情、自らの価値や存在意義を肯定できる感情などを意味する語。 自己否定の感情と対をなす感情とされる。
                                                実用日本語表現辞典より
 

つまり自己肯定感が高いということは、自分には価値があり、自分は大切な存在だとわかっている状態であると言えます。

自己肯定感を持っていれば自信を持って行動することができ、新しいことにも必要以上に怖がることなく挑戦できるようになります。

自己肯定感は、人にとって生きていくための土台となるものです。

自己肯定感を高める関わりをすることは、その後の人生にも大きな影響を与えるのです。

自己肯定感が低い子どもの特徴

身近な大人の関わり方によっては、子どもの自己肯定感が低くなってしまうことがあります。

小さい子どもにとっては、両親や保育園の先生などの身近な大人との関わりが人間関係の大部分を占めます。そのため、身近な大人の関わり方が大切になるのです。

自己肯定感が低くなると、子どもは自分に自信が持てず、人との関わりや新しいチャレンジに対して消極的になってしまいます。

自己肯定感が低い子どもには、具体的にはどのような特徴があるのでしょうか。

意思表示ができない

自分に自信が持てないため、自分の気持ちや考えを人に伝えることが苦手になります。

自分の意見に自信が持てず、自己主張ができないので他の人の言いなりになってしまう場合もあります。「自分の意見は間違っているかもしれない」と不安になってしまったり、「笑われたらどうしよう」と考えたりします。

自分の気持ちを素直に表現できないことで、人間関係やコミュニケーションがスムーズに運ばない原因になります。

褒められても喜ばない

自己肯定感が低いと、褒められたときに素直に喜ぶことができないことがあります。

自分ができることは他の人にもできると考えたり、自分は褒められるようなことなどしていないと考えたりするためです。

人から言われた言葉を素直に受け取って喜ぶためには、まず子ども自身が自分には価値があると信じていることが必要なのです。

挑戦することを怖がる

新しいことに出会ったとき、挑戦する気持ちを持てないことがあります。

自分にはできないと思ってしまったり、失敗することを必要以上に恐れたりしてしまいます。

挑戦することで、その結果が成功でも失敗でも、子どもはさまざまな経験を積むことができます。

その経験を生かしてまた新たな挑戦へ向かうことができるので、まずは怖がらずに挑戦することがとても大切なのです。

挑戦することを怖がってしまうことで、その後の成長にも大きな影響を与えてしまいます。

子どもの自己肯定感を高める親の関わり方

それでは、具体的に子どもと関わるときのポイントを解説します。

結論から言うと、共通して大切なのは子どものありのままの姿を肯定することです。

自分はありのままの自分で価値があると感じられることが、自己肯定感を育む上で大切だからです。

例えば、「◯◯ができてすごいね」と褒められると嬉しいと感じます。挑戦したり努力したりして、その結果できたことを認めてもらえるのは大切なことですよね。

しかし仮にそのような褒められ方ばかりしていた場合、「◯◯ができない自分には価値がない」という捉え方をしてしまう可能性もあります。

子どもが小さい時から、「◯◯ちゃんのことが大好きだよ」など、何もしなくてもあなたがいてくれるだけで嬉しいということをたくさん伝えてあげましょう。

そして、これからご紹介することをちょっとした場面で少し意識するだけで、今日からでも自己肯定感を高める関わりをすることができます。

子ども自身に選択してもらう

自分で物事を決める経験はとても大切です。

小さな頃から子ども自身のことを親が決定することが当たり前になっていると、子どもは成長して物事を理解できる年齢になってからも「自分で決める」ことができなくなってしまいます。

自分の意見が尊重されないことは、自信を失うことにもつながります。

例えば「今日はどっちの服を着る?」など日常の小さなことから、子どもにはできるだけ自分で決める経験を積ませてあげましょう

どんなに小さな子どもであっても、子どもは一人の人間として尊重されなくてはなりません。

子どもが自分のことについて自分で決めることができないと、自信を持つことが難しくなってしまいます。

結果ではなく過程に注目する

子どもが何かに挑戦したとき、結果を見てできたかできなかったかを評価してしまいがちです。

しかし重要なのは結果ではなく、それまでの過程での頑張りを認めて褒めてあげることです。

「何ができたか」ではなく、「挑戦したこと」や「頑張ったこと」に注目してあげてください。

否定語を使わない

否定の関わりばかりを繰り返された子どもは、大人への信頼感も低くなり、自己肯定感が低くなってしまうことがあります。

とはいえ、否定語を全く使わずに子育てをすることは難しいですよね。

前提として、否定語は子どもにとって理解しづらい言葉でもあります。

例えば、「走らないで!」と言われても、子どもはどうしたら良いのか分からない場合があるのです。そんな時には「歩こうね」と言うことで、子どもにとってやるべき行動が分かりやすく伝わります。

ちょっとした工夫で、子どもとのコミュニケーションも取りやすくなるはずです。

もちろん、車道に飛び出すなどの本当に危険な場面では腕を掴んだりするなどしてすぐに止め、「◯○はしたらいけない」とはっきり言います。

ママやパパの普段と違う表情や口調は、どんなに小さな子どもであってもしっかりと伝わります。

普段から否定語を多く使っていたり、強い口調で叱っていると子どもが慣れてしまうことがあるため、本当に危険なことが伝わりづらくなるというデメリットもあるのです。

もちろん親子であれば感情的になったり、つい叱りすぎてしまったりする場面もあって当然です。しかし、ちょっと意識するだけで対応が変わる場面もあるかもしれません。

普段はできるだけ否定語を使わない言葉掛けを意識することで、メリハリのある対応ができるでしょう。

他の子どもと比べない

他の子どもと比べるのではなく、その子自身が過去と比べて何ができるようになったのかに注目しましょう。

子どもの成長速度は一人ひとり違います。

得意不得意も人それぞれなので、他の子どもと比較することに意味はありません。

先回りしすぎない

親として子どもが失敗したり傷ついたりしないように、つい先回りして手助けしてしまうこともあるかもしれません。

特に小さい子どもに対しては、つい何でも大人がやってあげたくなってしまうこともあるでしょう。

いつも一番近くにいる大人は、子どもが何をしたいのかを察して先回りしてしまうこともあります。

しかし、子どもは自分の力でチャレンジして成功した時に達成感を感じることができるのです

失敗しながらもチャレンジした経験が成長につながるので、手助けしたい気持ちをグッと堪えて見守ってあげてください。

その代わり子どもが助けを求めてきたときには手を差し伸べられるように、目を配ってあげられたら良いですね。

おわりに:子どものありのままの姿を受け入れよう

子どもがありのままの自分を受け入れるためには、まずは周囲の大人が子どものありのままの姿を肯定することが大切です。

自己肯定感の土台は、生まれてまもない赤ちゃんのときから形成される愛着関係だと言われています。

その土台がしっかり作られている子どもは自分の価値を信じることができるため、自分を好きになることができます。

「自分にはできる」と信じられることで、怖がることなく新しいことに挑戦して新たな世界に踏み出すことができるのですね。

毎日忙しい中で子育てをしていると、つい叱りすぎてしまうときや、子どもと向き合う時間が足りないときもあるかと思います。

そんな時にも、寝る前には「あなたがいてくれるだけで嬉しい」という気持ちをぜひ子どもに直接伝えてみてください。また、子どもの話にも耳を傾ける時間を少しだけ作ってあげてみてください。

ありのままの自分を受け入れてもらえることで、子どもは自分に自信を持って生きていくことができるのです。

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