5歳から11歳の子どもを対象にした新型コロナウイルスのワクチン接種について、有効性と副反応のデータを国の研究班が初めて公表した。これによると、感染後の子どもと比べて抗体の値は高くなり、発熱などの副反応が出る割合は大人より低いことが明らかになった。研究班は接種の意義はあると主張している。
抗体の数、感染後の子どものおよそ15倍を検出
国内での新型コロナの小児用(5〜11歳向け)ワクチンは米ファイザー社製で、3週間間隔で2回接種するが、量は12歳以上の3分の1。今年1月に特例承認され、2月に無料で接種を受けられる対象となった。
接種体制は3月から本格化し、6月9日に公表された2回目の接種率は14.9%となっていた。
厚生労働省の研究班は、5月24日までにワクチンを接種した子ども106人を対象に従来株に対する抗体値や副反応を分析し、6月10日、ワクチンの安全性を評価する同省の専門家部会で詳細を説明した。
これによると、106人のうち38人について2回目接種から1か月後の抗体の値を調べたところ、その数値は平均1773。感染後の子どもの値の最大120と比べると、およそ15倍まで高くなっていたことが分かった。
子どもは大人よりも副反応の出現率が低い
また副反応については、2回目接種後の子ども62人と20歳以上の大人を比べたところ、子どものほうが副反応が出る割合が低かったと同研究班は説明した。
具体的な内訳は以下の通り。
- 【38度以上の発熱】大人:21.3%|子ども:4.8%
- 【全身のけん怠感】大人:68.8%|子ども:22.6%
- 【頭痛】大人:53.1%|子ども:4.5%
研究班の代表を務めている順天堂大学医学部の伊藤澄信特任教授は、「子どものワクチンは有効成分の投与量が、大人と比べて少ないため、副反応の割合が低く出るとみられている。接種の意義はある。このデータを参考にして接種を検討してほしい」と専門家部会にて述べた。
現在、5〜11歳のコロナワクチン接種は、予防接種法上の「努力義務」の対象には入っていない。「努力義務」とは、特定の予防接種について、接種の対象者や保護者に「受けるよう努めなければならない」「受けさせるため必要な措置を講ずるよう努めなければならない」と定める法上の規定で、接種を強制するものではなく、努力を求めるものだ。
努力義務の対象外ではあるものの、今回国の研究班から小児用ワクチン接種の意義について発表があったことから、接種率の今後の向上が期待される。
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