「子どもが何でもイヤと言うので困っている」
「イヤイヤに対応する方法を知りたい」
子どもが1歳半を過ぎた頃から、ママやパパが悩まされるのが「イヤイヤ期」です。
イヤイヤ期とは、子どもの自己主張が激しくなる2歳前後の時期のことです。この時期の子どもへの対応の大変さから、「魔の2歳児」と呼ばれています。
「食べたくない」「お風呂に入りたくない」「保育園に行きたくない」など、日常生活のさまざまな場面で子どもが言うことを聞いてくれずに困ることはないでしょうか。
子どもに何を言っても「イヤ」と返されてしまい、どのように対応すれば良いのか悩むこともありますよね。
この時期は大人も子どももストレスを感じてしまいがちですが、イヤイヤ期は子どもの成長の証でもあります。決してしつけや育て方のせいではなく、正常な発達のプロセスなので安心してください。
対応方法を知ることで、イヤイヤ期を親子で上手に乗り切るとともに、子どもの心のより良い成長につなげることができます。
この記事ではイヤイヤ期とはどんなものなのか、保育現場でたくさんの子どもたちに接している保育士が実際にどのように対応しているのかについて解説します。
この記事は保育士・介護福祉士の資格を保有するhiiが担当。約10年に渡って認可保育所、児童発達支援施設等に勤務し乳幼児の保育・療育に携わる。現在は特別支援学校に勤務する傍ら、ライターとして子育て・保育などに関する記事執筆を行っている。
この記事の目次
イヤイヤ期ってなに?
そもそも、イヤイヤ期とはどんなものでしょうか?
イヤイヤ期は子どもの自我の芽生えと言われています。
自我が芽生えた子どもは、自分の気持ちや意志を周囲の人に理解してもらいたいと感じています。まだ言葉でうまく伝えることができないため、泣いたりかんしゃくを起こしたりしてしまうこともあります。
この時期は脳の前頭前野の機能がまだ十分に発達していないため、自我の発達に対して理性が追いついていない状態です。そのため、自分の気持ちをコントロールできず爆発してしまうことがあるのです。
イヤイヤ期は自分の主張がどのくらい受け入れられるのか、どうしたら自分の気持ちが相手に伝わるのかを子ども自身が体験の中で学んでいる時期でもあります。
自分の考えを相手に過不足なく伝えるのは、大人でも難しいことですよね。この時期に大人がしっかりと向き合ってその方法を伝えることで、子どもはその後の人間関係でどのように振る舞えば良いのかを知ることができます。
自分の主張がどのくらい受け入れられるのか、どのように伝えれば良いのかを練習していると思うと、その練習に付き合ってあげようかなという気持ちになるのではないでしょうか。
イヤイヤ期はいつからはじまる?
イヤイヤ期の期間は子どもによってそれぞれですが、「魔の2歳児」という言葉があるように、1歳半から2歳頃にはじまると言われています。
イヤイヤ期は3歳頃には少しずつ落ち着き、4歳を迎える頃には終わっている場合が多いです。
いつまでも続くわけではないので安心してくださいね。
イヤイヤ期を過ぎると成長にしたがって気持ちのコントロールができるようになります。言葉でのコミュニケーションも少しずつ上手にできるようになっていくでしょう。
イヤイヤ期の対応方法
保育現場では、イヤイヤ期の子どもたちに日々対応しています。大勢の子どもたちがそれぞれに自己主張したり、イヤイヤをして泣いてしまうこともあるため、適切な対応をしなければなりません。
ここでは保育士がイヤイヤ期の子どもに対して実際に行っている対応について解説します。お家で子どものイヤイヤの対応に困ったときには、ぜひ参考にしてみてくださいね。
イヤイヤを受け止める
子どもの「イヤ」という主張をまずは受け止めることが大切です。
イヤイヤをしている子どもは、自分でも気持ちのコントロールができずに困っている状態です。
「そうだよね」「イヤだったんだね」と共感してもらうだけで、子どもは「分かってもらえた」と感じて大人の話に耳を傾けることができます。
話し合いや交渉を落ち着いてするためにも、まずは「あなたの気持ちを分かっている」ということを伝えてあげましょう。
子ども自身に選んでもらう
生活の中では子どもがどんなにやりたくないと言っても、やらなければならないこともありますよね。
誰かに「やりなさい」と言われてやるよりも、自分で決めてやる方が気持ちよくできるのは大人も子どもも同じです。
例えば子どもが「着替えたくない」と言ったときには、着る服を自分で選んでもらうのも有効です。
「着替えるか着替えないか」という二択から、「赤と黄色どっちにするか」という二択に目先を変えてあげてみてください。自分で選択することで満足感や納得感を得て、気持ちが落ち着く場合が多いです。
イヤイヤ対策としてだけではなく、日常の小さなことでも子どもが自分自身で選ぶことは大切です。自分で選ぶことを尊重されることで、子どもの興味や「やりたい」という気持ちが育っていきます。
生活リズムを作る
日々の生活を毎日同じ時間に繰り返し行うことで、身体に生活リズムを覚えさせましょう。
毎回言い聞かせるのは大人も疲れてしまいますが、毎日繰り返して習慣づけることで少しずつスムーズに行動できるようになります。
生活リズムが安定することは心身の健康に大切なことです。起きる時間、ご飯の時間、寝る時間などできるだけいつもと同じリズムで行います。
子どもがイライラしている時には、疲れていないか、体調が悪くないかなどもよく観察しましょう。
気持ちを切り替える
子どもがイヤイヤから抜け出せそうにないときには、気持ちを切り替えてあげましょう。
一旦今のやり取りから離れて遊びに誘ってみたり他のものに興味を向けてみたりすることで切り替えられることもあります。
一度立て直してからまた話をするのも良いですし、気持ちが切り替わることでスムーズに行動できる場合もあります。
普段からコミュニケーションを取る
子どもの機嫌の良いときにたくさんスキンシップやコミュニケーションを取ることも大切です。
イヤイヤ期は子どもを説得したり言い聞かせることにエネルギーを使ってしまい、大人も疲れてしまいますよね。
子どもとの関わりがイヤイヤとの戦いばかりにならないよう、機嫌の良いときにはぜひ楽しい関わりや会話を意識してみてください。
大人とのコミュニケーションで気持ちが満たされると精神的にも安定するため、イヤイヤの爆発が抑えられることもあります。
イヤイヤ期に注意すること
否定をしない
子どもの「イヤ」という主張に対して、否定する言葉を言わないように注意しましょう。
子どもは身近な大人に自分の気持ちをぶつけることで、自己主張をする練習をしています。否定されてしまうと、自分の気持ちを抑えるようになったり周囲の顔色を伺うようになってしまう場合もあるため注意しましょう。
「イヤ」という気持ちを受け止めた上で、「イヤだったんだね。でも◯◯は今はできないよ」などできないことははっきりと伝えてあげるのも良いですね。
頭ごなしに「ダメ」と言うのではなく、できない理由を説明してあげましょう。「○◯が終わったらやろうね」など約束をして必ず守ってあげることで、納得できるようになっていきます。
モノで釣らない
「〇〇を買ってあげるから」などモノを引き合いに出さないようにしましょう。
子どものイヤイヤに対応するときには、「どうしてやらなければならないのか」「なぜやってはいけないのか」を伝えることが大切だからです。
モノに釣られて行動するようになってしまうと、その行動の理由が分からないままになってしまいます。
外出先で子どもが泣き止まないなどの困った状況ではつい使いたくなってしまう方法ですが、泣いたら何かを買ってもらえるという間違った学習をしてしまう可能性もあるため注意しましょう。
その場しのぎの対応をしない
昨日はダメと言ったことを今日は良いといってしまうなど、大人の対応がブレてしまうと子どもは何が正しいのか分からなくなってしまいます。
同じ行動をしてもその度に大人の反応が違った場合、子どもはどうすれば良いのか分からず不安になるものです。
疲れているときなどは面倒になって「いいよ」と言ってしまうこともあるかもしれませんが、子どもに接するときには一貫した対応が大切です。
日常の小さなことについて、以前何を言ったのかを毎回考えてはいられないこともありますよね。そのようなどちらでも良いことについては必要以上に「ダメ」と言わないように注意するなど、おおらかに対応しても良いでしょう。
絶対に譲れないことを大人が軸として持っていることで子どもにもきちんと伝わるものです。
おわりに:正しい対処法を知ってイヤイヤ期を乗り切ろう
イヤイヤ期は大人も子どもも大変な時期ですが、子どもの発達のためにとても大切です。この時期を乗り越えた子どもは、精神的に大きく成長します。
イヤイヤ期の最中は終わりが見えず「こっちが泣きたい!」と感じてしまうこともありますが、過ぎてしまうと懐かしく感じるものです。
真剣に向き合って対応することももちろん大切ですが、そればかりだとお互いに疲れてしまいますよね。
そんなときにはイヤイヤしている子どもの姿を写真や動画に収めておくと、成長してからの家族の思い出になるのでオススメです。
毎日接しているとイライラしてしまうこともありますが、今だけの貴重な時期でもあるので、少しだけ心に余裕を持つとイヤイヤ期も楽しめるかもしれません。
上手な対応方法を知って、子どもと一緒にイヤイヤ期を乗り切りましょう。
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